体外受精における安全性とリスク

卵巣過剰刺激症候群

体外受精における安全性とリスクの一つして、卵巣過剰刺激症候群があります。

  • 卵巣が腫大し、腹水(胸水)貯留を引き起こす状態
  • リスクや程度にもよるが、頻度は1~6%

進行すると、血管管内脱水 ⇒ 血栓症(肺塞栓、脳梗塞)の危険があります。

卵巣過剰刺激症候群
症状 腹部膨満、腹痛、尿量減少、呼吸困難
リスクが高い方 35歳以下、AMH高値、多嚢胞性卵巣症候群、やせている方
卵胞数35個以上、血中E2>4000 pg/mL、OHSSを発症した周期で妊娠した場合
対策 妊娠による重症化を避けるため、胚移植を延期し、全凍結して時期をあけて凍結胚を移植する。
(当院では、卵巣の最大長径が70mm以上の場合、原則として全胚凍結としています)

血栓症のリスク状態を随時採血で確認する
血栓症予防のための内服薬、点滴、ヘパリン注射などを行うことがある
症状が重度の場合は、入院を要することがある
まれに、卵巣腫大による卵巣茎捻転による入院・手術

先天異常のリスク

体外受精における安全性とリスクの一つとして、先天異常のリスクといわれています。

当院にて治療を行い生まれたお子様の先天異常率は約3%です。

  • 自然妊娠における先天異常率は約3-5%です。
  • 自然妊娠と体外受精を比較しても、特に体外受精の先天異常率が高いということはありません。
  • 先天異常は多胎(ふたご・みつご)にも多く見られます。多胎妊娠では低出生体重児として生まれてくることが多く、低出生体重児であるために起こることも少なくありません。体外受精では多胎がやや多い傾向にあるため、このような先天異常も多い傾向にあります。

先天異常の例

  • 軽度心房中隔欠損症
  • 鼠径ヘルニア
  • 多趾症
  • 単純性血管腫 etc

※ 体外受精の方法によって先天異常が高くなるわけではありません。

多胎妊娠のリスク

体外受精における安全性とリスクの一つとして、多胎妊娠のリスクがあるといわれています。

当院における多胎妊娠率は0.5%前後です(2014年当院調べ)

多胎妊娠の問題点(母体への影響)

  • 切迫早産による長期入院、その治療による副作用
  • 妊娠高血圧症候群(旧病名:妊娠中毒症)、妊娠糖尿病
  • 前置胎盤、前期破水、羊水過多、帝王切開
  • 常位胎盤早期剥離、分娩時大量出血(弛緩出血)、母体死亡

多胎妊娠の問題点(児への影響)

  • 早産率が極めて高い(多くが37週以前に出生)
  • 子宮内胎児発育遅延および早産などによる、低出生体重児・未熟児
  • 無脳児、髄膜瘤、脊髄破裂などの神経系の異常、心奇形、食道閉鎖など
  • 子宮内胎児死亡(単胎妊娠の数倍のリスク)、脳性麻痺
  • 母体合併症が重篤化すれば、妊娠継続をあきらめざるを得なくなる可能性

※ 移植胚が1個でも、一卵性双胎となることもあります。海外では、2個移植で四つ子の報告もあります。

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診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)

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