1. TOP
  2. 医療コラム
  3. 妊活に適した食材の選び方

医療コラム

コラム 2018.05.15

妊活に適した食材の選び方

近年アメリカの研究で特に不妊の原因が排卵障害にある女性において、食生活や生活習慣を見直すことによって改善が認められることがわかりました。そこで今回は前回予告した『妊活に適した食材の選び方』について特化して紹介していきます。妊活に大切なことは最先端の医療を受けることだけが最適なのではなく、普段の食生活や生活習慣も見直していくことが妊娠への第一歩につながるので、ぜひ参考にしてみてください。

妊娠の可能性を高める7つの原則

アメリカにおいて全米18000人の女性看護師を対象に、妊娠するまでどれくらいの期間がかかったか、流産の有無を含めた健康状態、食生活、運動の記録、喫煙やその他の生活習慣についての情報を集めました(以下「看護師健康調査」)。そこから以下に挙げた食生活における7つのポイントが、排卵に関する不妊症を劇的に改善することが明らかになりました。

  1. 全粒粉など、精製度の低い穀物を選ぶ。食後の血糖値を急激に上げるような精製された炭水化物は減らす。
  2. 不飽和脂肪酸を多く摂り、加工食品やファストフードなどに含まれるトランス脂肪酸は避ける。
  3. 牛乳、ヨーグルト、アイスクリームは無調整のものにする。低脂肪(無脂肪)乳製品の接種は回数を減らす。
  4. 植物性タンパク質を多く摂り、動物性タンパク質を減らす。
  5. 葉酸やビタミンB群を含むマルチビタミンのサプリメントを接種する。
  6. 水を十分に飲む。コーヒー、紅茶は控えめに。砂糖入りの清涼飲料水は飲まない。
  7. 体重をコントロールする。肥満時は体重の5~10%減量し、運動する。

この7つの原則のうちのいくつかは男性不妊にも効果があります。ご夫婦で食生活、生活習慣を改善をし、妊活に向けて励んでいきましょう!

今回はこの原則のうち「1 炭水化物」「2 脂質」「3 乳製品」の3つの食材の選び方について詳しくお伝えしていきます。

1 炭水化物

炭水化物には”良い炭水化物”と”悪い炭水化物”があります。その良し悪しは「血糖値にどう影響するか」が判断基準になります。悪い炭水化物を食べると血糖値が急激に上昇します。そして血糖値を一定に保つようインスリンが分泌されることによって血糖値は再び急降下し体は空腹のサインを出します。そこでまた悪い炭水化物を摂取し、血糖値の上昇を繰り返すことで肥満になり、糖尿病などの病気も引き起こすことになるのです。

そこでおすすめなのが血糖値の上昇が緩やかな全粒粉食品です。白い小麦粉やコーンフレークなどの精製された炭水化物は血糖値を急激に上昇させますが、精製していない全粒粉食品は消化に時間がかかり血糖値をゆっくり上昇させます。それだけでなく、繊維質やビタミン、ミネラル、その他有用な栄養素をそのまま残しているのでより優れた食品といえます。他にも、じゃがいも以外の野菜や果物、豆類も血糖値やインスリンに緩やかな影響しか与えないので有用です。

白いパンが好きな方は全粒粉パン、白米が好きな方は玄米に変えてみるなどちょっとした工夫で変えていけるので参考にしてみて下さい!

2 脂質

「看護師健康調査」によって、トランス脂肪酸は排卵や妊娠の障害なることがわかりました。このトランス脂肪酸の摂取量を減らせば、妊娠するチャンスを高めることができ、同時に不飽和脂肪酸、特にオメガ3脂肪酸を多く接種するとさらによい結果をもたらします。どのような脂肪酸の種類が良いのかは以下の表を参考にしてください。

脂肪酸の種類 原料例 摂取目標
体に良いもの 一価不飽和脂肪酸 オリーブ(オイル)、ピーナツ、ナッツの油、ピーナツとその他胡麻などの種子バター 総カロリーの10~15%(22~27g)
体に良いもの 多価不飽和脂肪酸(オメガ3・オメガ6脂肪酸) 植物油、特にコーン、大豆、サフランオイル、クルミ、マグロや鮭などの脂肪性の魚類など 総カロリーの8~10%(17~22g)
摂取を減らすもの 飽和脂肪酸 赤身の肉、無調整の牛乳やクリーム、ココナツやココナツ製品、ヤシ油 総カロリーの8%以下(17g以下)
摂取を避けたいもの トランス脂肪酸 水素添加された植物由来の油脂を含む製品、マーガリン、ショートニング、ファストフード 2g以下できれば0g

ちなみにイギリスで行われた研究によると、妊娠中にオメガ3脂肪酸を豊富に含む海産物を日常的に摂る女性から産まれた子どもは、産まれてから4歳まで運動、社交性、コミュニケーションスキルが長けていたことが分かっています。「妊娠しやすい食生活」を心がけることは妊娠までの期間だけでなく、産まれた後にも影響を与えるといえるでしょう。

3 乳製品

脂肪の摂取バランスという観点から言えば、飽和脂肪酸を摂りすぎないことが大切なのですが、乳製品に関しては脂肪分無調整の牛乳やヨーグルト、チーズ、アイスクリームでさえ、排卵障害の不妊症リスクを低減し、反対に低脂肪の牛乳やヨーグルトはリスクを高めます。「看護師健康調査」では、乳製品の総摂取量と排卵障害の不妊症リスクとの関連を調べ、摂取量に不妊症のリスクの違いは発見されませんでした。しかし、乳製品の種類別に見てみると、低脂肪の乳製品を多く摂る女性ほど排卵障害の不妊症リスクが高く、成分無調整の乳製品を多く摂る女性ほどリスクが低かったのです。

~なぜ低脂肪の乳製品を摂ると排卵障害のリスクが高まるの?~

現在の牛乳は50年前に比べてホルモンの含有量が増えていることが知られています。問題は脂肪分を取り除く過程でエストロゲンやプロゲステロンなどが除去されアンドロゲンやインスリン様成長因子1などが存在することになります。その結果、低脂肪の牛乳を飲むことで男性ホルモンが過多になることで、卵胞の成熟や排卵の障害のリスクが高まることにつながるのです。

低脂肪の方がヘルシーで健康に良いイメージがありますが、排卵障害を持つ女性にとっては妊活に逆の効果をもたらしてしまうので自分の体質に合った接種の仕方を見極めることが大切です。

次回は今回お伝えできなかった「植物性タンパク質」「微量栄養素(葉酸・ビタミンなど)」「水分」について詳しくお伝えしていきます!お楽しみに!

参考文献

1)ジョージ・E・チャヴァロ/ウォルター・C・ウィレット/パトリック・J・スケレット:
妊娠しやすい食生活~ハーバード大学調査に基づく妊娠に近づく自然な方法~,日本経済新聞出版社,(2013/12)

高輪看護部MA 森井


診療時間

診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)

診療時間
7:30〜16:30
(最終予約 15:00)
休診
日曜は 8:30~12:00 で診療いたします
祝日も休まず診療いたします
診療内容によって予約可能時間が異なります。
不明点はスタッフまでお問い合わせください。

ご予約・お問い合わせ

03-6408-4124

お電話受付時間
月・水〜土:
8:00〜16:30
日:
8:30〜12:00
祝日は曜日に順じます
2022年3月卒業予定者対象