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医療コラム

コラム 2019.09.10

胚培養士の1日

皆様はクリニック内で胚培養士に会ったことがございますか?

胚培養士が普段どのような仕事をしているのかわからない方も多いと思いますので、今回は、胚培養士の1日の業務をご紹介いたします。

出勤すると、私服から白衣に着替え、帽子、マスクを着用し、培養室に入ります。受精卵(胚)や卵子等をお預かりしている培養室は、HEPAフィルターという高性能の空気清浄設備を完備しており、非常にクリーンな状態に保たれています。

8:30以降には採卵が始まります。培養室は手術室と繋がっており、手術室で医師が採取した卵胞液を培養室に渡し、胚培養士が顕微鏡で卵子を探します。卵子の様子は手術室のモニターでもご確認頂けます。

採卵以外にも、午前中は受精卵の観察や凍結、午後に凍結融解胚移植を行う予定の凍結胚の融解を行います。また、精液処理室と呼ばれる部屋では、ご主人様の精液の状態を検査し、調整という工程に入ります。精液中には、正常な運動精子以外に、不動精子や奇形精子、不純物(細菌、白血球など)も含まれます。そこで調整を行うことで、運動能が良い、形態良好精子のみを回収し、人工授精や受精に用います。

11:30からは、受精の工程に入ります。受精の方法には「通常の体外受精」と「顕微授精」の2種類が有ります。「通常の体外受精」とは、卵と精子を同じ入れ物の中に入れて受精させる方法です。「顕微授精」とは、顕微鏡下で一つの精子を一つの卵に直接注入する方法です。

午後は受精卵を子宮に戻す胚移植を行います。午前中に融解した受精卵の状態を確認し、胚培養士が患者様に直接受精卵の状態を詳しくお話させていただきます。その後、患者様に手術室にお入りいただき、実際にその受精卵を子宮に戻します。

胚移植終了後は、翌日の準備、室内の清掃をして、培養室での作業は終了になります。

また、胚培養士には臨床以外にも仕事があります。

例えば、受精率や胚発生率、妊娠率等の成績のデータを随時算出し、内容を振り返ることで、皆様に質の高い医療を提供できているか、厳しくチェックしています。これらのデータは学会、論文を通して日本国内だけで無く、世界に向けても発信しています。また、最新の研究論文に目を通し、よりレベルの高い生殖医療を提供出来るよう絶えず知識を深めています。

その他に、凍結した受精卵や精子などを保存している凍結タンクの保全管理や、使用する機器や培養液の定期的な点検を実施し、常に異常がないかをチェックしています。ちなみに、凍結タンクの保存場所には全面に緩衝材を貼り付け、鍵をかけて保存しています。この対策によって、東日本大地震の際には、凍結タンクの転倒・破損などは見られませんでした。

胚培養士が1日どんなことをしているか、何となくおわかりいただけたでしょうか。

続いて、タイムラプスシステムという受精卵を培養しているインキュベーターについてご紹介いたします。

当院では、全症例タイムラプスシステムを用いて、特に重要とされる受精確認から第一分割までの観察を重点的に観察しております。

タイムラプスとは、受精卵の定位置で一定間隔撮影し、その写真を連続で映し出すことで、動画のように見ることができる技術です。

従来の受精卵の観察では、胚培養士がインキュベーターの中から取り出し、受精確認から6日間にわたって一定の時点で観察を実施します。受精卵がインキュベーターの外に出ることは、温度や光、ガス濃度の変化といった様々な環境変化にさらすことになり、大きなストレスがかかります。

一方、タイムラプスシステムは、内蔵カメラと顕微鏡を備えたインキュベーターになるため、観察時に胚を取り出さない、安定した培養環境での状態で観察を行うことができるため、胚盤胞到達率なども向上することが確認されています。また、今まで定点的にしか見ることが出来なかった受精卵の様子を全て見ることが出来るため、成長速度や発育状況、異常な受精や分割などを見つけることが可能になり、移植胚の選択に役立つようになりました。希望性(有料)になりますが、受精から6日目までの発育過程の動画をUSBに入れてお渡しすることも可能です。

最後に、どんな人が胚培養士になっているのかご説明します。

胚培養士は国家資格ではありません。臨床検査技師や農学系の大学を卒業した者が、不妊治療を行っている施設に胚培養士として就職することが多くなっています。日本には胚培養士を養成する学校がほとんどないので、必要な知識・技術は働きながら覚えていくことになります。そのため、就職してすぐに胚培養士として業務を行えるわけではありません。当院では、クリニック独自の厳しい基準を設けた業務習得カリキュラムを設けており、各項目の技術基準に合格したスタッフでなければ受精卵や精子を扱うことはできません。胚培養士は比較的若いスタッフが多いため、たまに、受精卵を任せるのが不安ですというお声を患者様から頂きますが、当院では厳しい教育を乗り越えた、高い技術を持ったスタッフが業務を行っていますので安心して培養業務を任せていただければと思います。

胚培養士が皆様と直接会ってお話する機会は、非常に少ないですが、大切な卵や精子を、責任を持ってお預かりさせて頂いています。院内で青色の白衣を着たスタッフを見かけることがありましたら、遠慮なくお声をかけてください。

仙台培養部 熊王


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