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医療コラム

コラム 2022.11.07

保険診療で正しい男性不妊治療を~精索静脈瘤の話② 手術は自費?保険?手術の種類と麻酔について~

精索静脈瘤の手術の種類

精索静脈瘤の手術で日本でよくみられるのは3種類あり、臍の横~下腹部を切る高位結紮術、お腹にいくつか小さい穴をあけて内視鏡を入れて行う腹腔鏡手術、足の付け根を切って顕微鏡を使って行う低位結紮術です。全て逆流している精索静脈を止めることを目的にしています。
保険について言えば、全ての手術が保険適応されています。特に低位結紮術は「顕微鏡を用いる手術」として2018年4月から保険適応されました。
低位結紮術だけが局所麻酔で手術可能であり、高位結紮術、腹腔鏡手術は全身麻酔が必要です。そのため短時間の日帰りで行えるのは基本的に低位結紮術になります。

制作静脈瘤のおおよその自己負担額一覧の画像

日帰り精索静脈瘤手術の保険自己負担の試算

なぜ自費と保険、入院と日帰りが?
保険点数が設定されていない美容整形などは自費診療で行うしかありません。しかし、保険診療ができる治療でも、保険を使えるようにするか、自費で行うかは病院の裁量に任されています。自費ではぞれの病院で決めた値段になり、保険では国が決めた保険点数に従い決まった診療報酬が発生します。
現在、都市部ではほとんどのクリニックが日帰りの手術を自費で行っています。保険で行うところは大きい病院で入院などが必要なところが多く、当院のように「日帰り」「局所麻酔」「保険」で行っている病院はまだ少ないです。これらはもともとの精索静脈瘤手術が入院・全身麻酔で行われることが前提にあり、手術自体の保険点数が非常に低かった時代からの名残です。

局所麻酔の手術は痛みを感じる?全身麻酔の方が楽そう

局所麻酔自体が注射で行うので、多少の痛みは感じます。
また精索(血管の束)を持ち上げる時に引っ張られるような感覚が起こります。一時的に我慢していただく部分はありますが、訴えがあれば麻酔を追加していくのでずっと我慢していなければならない状況ではありません。
また当院では3-4時間効果のある局所麻酔薬を使用しておりますので、術後もすぐに切れることはなく、鎮痛剤と併せれば比較的楽に帰宅できます。局所麻酔の利点は全身への影響が少ないので麻酔の導入・覚醒時間がいらないことと、術後も鎮痛効果が続くので術後すぐの痛みまでカバーできることになります。
全身麻酔にも利点があり、手術用の顕微鏡が必要ない高位結紮や腹腔鏡も選択できますし、術中の痛みを感じないため手術も容易です。しかし全身麻酔の導入・覚醒や、麻酔が覚めた後の鎮痛なども必要で、術前後の管理上入院を必要としている病院が多くなります。また全身麻酔・入院の費用などが必要になります。

適切な医療を必要な方へ

2018年4月の保険診療化までは当院では片側20万、両側30万の自費で行っておりましたが、僕が赴任してすぐでもあったので保険で行うことになりました。それから4年数か月で500例、700側を超える手術を行ってきました。当院の成績は別の機会にお話しますが、当院の精索静脈瘤の手術成績は改善率・再発率共に一般に報告されているものよりも良好であると考えております。保険だからといって手術が簡易的だったりすることはありません。
上記の表で示しましたが、保険での顕微鏡を用いて行う精索静脈瘤手術自体の自己負担は片側4-5万、両側8-9万円程度です。自費の手術と比べ負担が減り、残ったリソースを女性側の治療や、産まれてくるお子さんに使うことができます。
皆さんには上手に保険を使っていただいて、少しでも負担の少ない不妊治療を選択していただければと思います。

京野アートクリニック高輪

医師部 田井俊

以下のページも精索静脈瘤についてご説明しております。ぜひご覧ください。
精索静脈瘤(低位結紮術)

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診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)

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