「反復着床不全」(repeated implantation failure: RIF)とは1~2個の形態良好胚を3回以上移植しても臨床的妊娠に至らない場合と定義されます。着床しない原因は胚側の要因(60~70%)と子宮側の要因(30~40%)に分けられます。適切な時期に適切な検査を実施し、適切な治療を行うことで、Time to pregnancyを短縮し、生産率を高めることができます。
反復着床不全や反復流産の場合に遺伝カウンセリングを受けて、
① PGT-A(胚の染色体の数的異常を確認する検査;35歳以上の女性が適応になる)/PGT-SR(胚の染色体の構造異常を確認する検査)を行い、移植胚として正常胚を選択すします。
② 適切な培養液を選択しタイムラプスを用いて培養し、発育速度が正常で、形態良好な胚盤胞を選択します。
下記の診断検査を実施し、結果が異常な場合は、治療してから、胚移植する。
個人の胚の最適な着床の窓(WOI)は約30%の女性でずれており(non-receptive)、その場合、個人に合った適切な時期に移植を行います。
「検査と治療時の黄体ホルモンを統一する」、「Gardner分類のGrade 4で凍結保存し、凍結融解胚盤胞移植の場合には融解後4時間培養し、Grade 5の状態で移植する」ことにより、ERAの精度を高め、ひいては着床率を高めることも可能になります。
子宮内のマイクロバイオーム解析により、lactobacillus、大腸菌、エンテロコッカス、連鎖球菌、マイコプラズマ、クラミジアなどの割合を検出する。Lactobacillus 90%以上占める場合を良好と判断します。
慢性子宮内膜炎(CE):子宮内膜組織をCD138抗体で染色し、現在、明確な診断基準は無いが、400倍の倍率で10視野に5個以上の形質細胞が存在する場合をCEと判断することが多いです。子宮鏡検査では子宮内に発赤、マイクロポリープ、浮腫を確認します。
黄体機能(血中E2,P)や甲状腺機能検査(FT4, TSH, TPO抗体)5)を行い、異常の場合、妊娠前から妊娠後も適切に甲状腺機能をコントロールします。
Th1/Th2比>10.36)、NK細胞活性>40%、ビタミンD<30ng/ml、亜鉛濃度<80µg/dLの場合に治療します。
プロテインS欠乏症、第XII因子欠乏症、抗リン脂質抗体陽性の場合に治療します。
子宮鏡検査で診断し、対応します。
i)子宮奇形:子宮中隔、ii)子宮筋腫:粘膜下子宮筋腫、iii)子宮内膜ポリープ、iv)子宮腔癒着症
MRI検査により子宮内膜蠕動運動様回数を調べます。
子宮内膜の厚さが7㎜未満と定義されます。頻度は1~2.5%です。新鮮胚移植では10~12mm、凍結胚移植では7~10mmで生産率が高く、内膜の厚さが6mm未満では新鮮胚移植でも、凍結胚移植でも優位に低下します
日本産科婦人科学会のPGT-A臨床研究pilot検討ではRIFの約70%が妊娠しており、今後はPGT-A/PGT-SRによる「正常胚」を移植する時代となる。
今後はRIFの病因・病態を明らかにし、適切な診断・治療により限りなく100%に近い継続妊娠率を期待できる時代が到来するのではなかろうか?
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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