当院は、JISART加盟施設として、精子・卵子の提供による体外受精を決められた
ガイドラインに沿って実施しております。
「精子又は卵子の提供による体外受精に関するJISARTガイドライン」https://jisart.jp/about/external/guidline/
卵子提供・精子提供を用いた治療は、希望された方が皆さん実施できるわけではなく、細かな条件や倫理委員会における審議で承認された後に実施可能となるものです。
そのため、必ずしも患者様のご希望に沿えない場合もあるということをご理解くださいますようお願いいたします。
女性にとっては、加齢による妊娠率の低下・流産率の上昇が関係しておりますので、
現状の既定では、ドナーの年齢が現時点で40歳以上の方の場合にはお受け付けすることができません。
現時点で38-39歳の女性の場合に関しては、申請手続き期間は半年から1年以上となることもございますので、間に合わないという状況になることも考えられます。
精子提供を受けて体外受精を行う場合には、少なくとも被提供者(レシピエント)は無精子症という状態であることが想定されます。
医学的にどうしても精子が得られない状態であり、提供を受ける以外にお子さんを得る方法がないということです。
先天性の方もいらっしゃいますし、たとえば若くしてがんに罹患され、抗がん剤などの治療の副作用によって、精子が失われた方なども含まれます。
提供者に関しては、感染症の検査に加え、遺伝的な検査を受けていただくことが必須であり、年齢は現時点で55歳未満と定義されています。
卵子の提供を受けての体外受精を行うことで、妊娠率が高まることは世界的にも知られている事実であり、日本においても、女性の加齢による妊娠率の低下のデータを見ても明らかと考えられます。
自分の卵子はもう得られない、という診断がなされていることが求められますが、特に注意が必要であるのは、現時点のガイドラインではレシピエント本人の加齢による不妊では卵子提供を受けることが認められないということです。
提供者が高齢になれば、妊娠率は低下するため、提供者への制限も精子提供に比べて強くなりますし、例えば採卵は3回までなどの制限も見られます。
卵子1個あたりの妊娠率は5%程度と言われており、決して高くはないので、最終的には提供者、被提供者の診察をしてみないとわからないことも多々あります。
精子又は卵子の提供による体外受精によって生まれた子の民法上の親子関係の位置づけについては、令和2年12月に制定された『生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律』により、私の提供した卵子で出生した子の母は被提供者夫婦の妻になり、また、被提供者夫婦の夫が子の父となります。
出自を知る権利には様々な規定が設けられています。
などの情報です。
これらは、法律で強制力をもって行うものではなく、被提供者ご夫婦、提供者ご夫婦、医療機関やJISART、うまれてくるお子さん、提供者の方のお子さんを含めて、連続的に信頼関係を保ち、協力して関係者の幸福や福祉を守るために関わり合っていく必要があります。
そのため、以下の例に示しますように、事前の熟慮期間や長期のフォローアップ期間も含めて、お互いに信頼関係を築けるかどうかも見定めながら、治療を進めていく必要があります。
実際に進むイメージは以下のようなものです。
あなたの健康と安全を守るため、事前検査を受けていただきます。検査項目は、通常の婦人科所見(ホルモン検査、超音波検査など)、ABO・Rh式血液型、血清反応、(梅毒、B型肝炎ウイルスs抗原、C型肝炎ウイルス抗体、HIV抗体、クラミジア抗体)などです。事前検査の結果によっては、卵子提供を断念していただくこともあります。
定められた項目について、被提供者夫婦、提供者夫婦がそれぞれ医師やスタッフから十分な説明を受け、3ヶ月間の熟慮期間を経てご夫婦そろってそれぞれの自由意思の元で同意・署名を行っていただきます。
カウンセリングや診察を受けたものの様々な理由で実施に至らないケースもございますが、その際もカウンセリングや診察の費用は発生いたします。
キャンセル料についても患者様のご負担となります。
実施の適否や留意点の審査等を細かく行います。実施にあたっては、様々な分野の専門家が倫理委員として参加しており、単に医学的な目線だけでなく、お子さんの福祉のことなども含めて、多面的な審査を行います(当院の場合はJISARTの倫理委員会に委託しています)
倫理委員会の承認後、原則として、採卵して6ヶ月以降に、再度感染症検査(B型肝炎ウイルスs抗原、C型肝炎ウイルス抗体、HIV抗体)を受けていただきます。感染症の中には、そのウイルスに感染されていても(抗体を持っていても)、感染後6ヶ月間、検査結果で陰性となる(Window Period)場合があるためです。このような理由で、採卵を行った日から6ヶ月の期間をあけて再度検査をうけていただき、採取された卵子が感染症におかされていないということを確認する必要があります。
ここまでが事前準備となり、全てが揃えば、採卵-胚移植という風に進んでいきます。
こうして記載をしてしまうと非常に簡易に見えてしまうかと思いますが、実際には非常に狭き門でもありますし、患者さんご自身もよくよく検討された上で、熟慮期間の後に断念されるという方も多くおられます。
この治療の是非は社会的な捉え方によって、今後も意味合いを変えてくるものと思いますので、あくまで現時点での取り決め(2021年12月時点)とご理解ください。
本治療に関するお問い合わせは以下からお願いいたします。
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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7:30〜16:30 (最終予約 15:00) |
休診 |
03-6408-4124
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