1. TOP
  2. 治療について
  3. 妊孕性温存

妊孕性温存

妊孕性温存

若年でがんにかかられた方が、がん治療前に将来の妊娠のことを考慮して、
卵子や受精卵、卵巣組織を凍結しておくことを妊孕性温存と言います。

がんと妊娠のことで悩まれた、まずは以下までお電話ください。

受診予約について

がん治療の先生からご紹介をされた方は以下からお電話をお願いいたします。

03-6408-4720

女性の妊孕性温存

妊孕性(にんようせい)とは、妊娠する力のことを指します。
医療技術は目覚ましく発展し、治療後の生存率は高まりました。その一方で、がん治療や難しい病気を治すための治療の副作用によって、妊娠する力が損なわれてしまうことが指摘されています。難しい病気を克服したその後の人生の質(クォリテイオブライフ:QOL)を高めていくために、難しい病気の治療を始める前に、妊娠する力を温存しておく。これを妊孕性温存と呼びます。当院ではこうした活動を2000年から開始しています。

妊娠のために必要なこと

卵巣の中にある卵子の元になる細胞が育ち、健康な精子と一緒になることで受精卵になります。この卵子の元になる細胞は、あなたがお母さんのおなかの中にいたころが最も数が多く、月日と共に減少していきます。

娠のために必要なこと

がん治療による副作用

あなたのがんの種類によって、がん治療医の先生は様々な治療方法を考えます。その治療方法の中には、この卵子の元になる細胞を著しく減少させてしまうものがあり、人によっては、卵巣の機能が廃絶してしまう方もいます。そうしたがん治療を行う前に、卵子やそれをパートナーの精子と一緒にした受精卵、卵子の倉庫である卵巣を凍結保存しておくことで、がん治療をしつつ、妊娠する可能性を残すことを目指していきます。

適応について

医学的な適応としては、以下のように分類されます。

がん治療による副作用

患者さんご自身でもよく検討され、意思をお聞かせください。

卵子凍結・受精卵凍結について

妊孕性温存を行う上では、「がん治療が最優先」の方針で行われます。
日本癌治療学会として最も推奨されている妊孕性温存は受精卵凍結(推奨グレードB)です。
卵子凍結は推奨グレードCとなります。

受精卵凍結の治療には

  • ①卵巣刺激
  • ②採卵
  • ③凍結保存

というステップがあります。

受精卵凍結については体外受精のページで詳細を確認してください。

1
卵巣刺激

卵巣刺激にはおよそ2-4週間程度かかりますが、できるだけ多くの卵子を得るために注射や内服薬を用いて、卵胞の発育を促します。

2
採卵

卵胞が十分に育ったら、卵子を体外に取り出します。これを採卵と呼びます。

3
凍結保存

卵子凍結の場合、この時点で成熟している卵子を凍結保存します。
受精卵凍結の場合には、パートナーの精子と一緒にして(受精)、2-3日まで発育した初期胚や5日目まで発育した胚盤胞と呼ばれる状態で凍結保存します。

ここまでの流れに移植し、その後妊娠する人を数値で表すと

100個の卵子⇒80個の成熟卵子⇒60個の受精卵⇒25個の胚盤胞(5日目)移植⇒妊娠10人

という流れになります。

受精卵(5日目の胚盤胞)の移植から妊娠する方は40%程度と非常に高いのが特徴ですが、卵子の段階から見ると、妊娠率は5-6%となります(女性の年齢が35歳の時)

そのため、先に記述したように、推奨の度合いが異なります。

1回(周期)の治療にかかる費用と期間、通院回数

費用 40万円程度
期間 2週間から4週間
通院回数 1回の採卵あたり4回程度

一般的な妊娠率(35歳未満でパートナーが男性不妊でない場合)

卵子1個あたりの妊娠率 5-6%
胚盤胞1個あたりの妊娠率 30-40%

卵巣凍結について

卵巣組織凍結は日本では現在試験的に実施がされていますが、近年急激に増加傾向にあります。

卵巣組織凍結は、外科的(腹腔鏡下)に卵巣を体外に取り出し、凍結保存を行いますが、手術・入院に要する日程はおよそ3-4日で実施することができるため、緊急性を要する場合に適応が認められるほか、がん治療を終えて、卵巣組織を移植した際には、卵巣機能が回復し、自然排卵されるようになります。つまり、自然妊娠が可能となります。

一方で、卵巣組織にもデメリットが大きなもので2つあります。

一つは腹腔鏡での手術が必要となるので、身体へのダメージがあること。
もう一つは、もし卵巣組織の中にがん細胞が混入している場合には、それらを身体に移植してしまうとがん細胞を再度身体に持ち込んでしまう可能性があるということです。
また、卵巣組織凍結は日本では歴史が浅く試験的な方法と考えられており、出産例もまだ少ない点も考慮しておいた方がよいでしょう。

これらをまとめると以下のような表になります。

卵子凍結 受精卵凍結 卵巣組織凍結
学会推奨グレード C B C
対象年齢 13歳から40歳まで
(未婚)
13歳から45歳まで
(既婚)
0-37歳まで
(未婚・既婚)
治療期間 2-4週間 2-4週間 2-3日
出産例 多数 多数 130例
費用(凍結まで) 30-40万円程度 40-50万程度 55万-70万円程度
その後の妊娠方法 顕微授精 体外受精/顕微授精 自然妊娠
or
体外受精/顕微授精
がん細胞の
再移入リスク
備考 卵子1個あたりの
妊娠率は約5%
妊娠・出産までに
必要な胚盤胞は
3個以上を推奨とする
がん細胞の
再移入の可能性

妊孕性温存をした後のこと

通常、凍結を行った後、元々のご病気の治療を行います。およそ2-3年後、身体の状況を主治医の先生と相談し、許可が得られれば、凍結しておいた卵子、受精卵、卵巣組織を移植して、妊娠に向けてすすめていきますので、治療後も密にコミュニケーションをとりながら進めていきましょう。

当院のサポート体制

当院では、がん・生殖医療専門心理士が在籍しております。

治療の状況に合わせて、感じることや悩むことも変わってきます。
妊孕性温存を実施する前からその後長期にわたるフォローアップを患者さんの負担なくできるように、年2回のカウンセリングを無料で実施しています。

お気軽にご利用ください。

男性の妊孕性温存

当院で実施している男性の妊孕性温存は精子凍結のみとなります。
精子凍結をご希望される方は、以下からお電話にて受診予約をお願いいたします。

03-6408-4124

男性のがんと妊娠する力

若年(15歳以上40歳未満)の日本人男性に多いがんとして、精巣腫瘍(がん)と白血病などの血液のがんが大半を占めます。特に精巣腫瘍は、20歳~30歳でかかる人が急増します。
精巣は抗がん剤や放射線に対する感受性が高いことで知られています。実際に精巣腫瘍の死亡率は0.1%未満といわれているのが何よりの証拠です。しかし、それは抗がん剤がよく効くということですから、実際に抗がん剤による影響もとても受けやすいということになります。

がん治療により精子形成障害と性機能障害

化学療法で使用する薬剤のうち、アルキル化剤や白金製剤は、一時的に無精子および精子減少を引き起こすとされています。しかし、80%は5 年以内に正常に戻るとされています。他の報告でも化学療法後では50%以上の症例に精子数の回復が認められていますが、妊孕性が回復しない場合もあります。また、精子数が回復しても、精子の質は治療後に落ちるという報告があります。

放射線療法では、照射線量が多いほど不妊期間が長くなるとされています。また、泌尿器科系がんや直腸がんの手術療法後に、性機能障害(射精障害、勃起障害、性欲の減退)や性交障害がみられることがあります。
がん治療後に推奨される避妊期間ですが、催奇形性を有する薬剤を投与した場合、薬剤の半減期の5倍に90日を加算した避妊期間が必要だと言われています。

このように、がんの治療による妊孕性低下が予想される挙児希望の男性がん患者さんについては,射精が可能であればできるだけ『治療開始前に精子の凍結保存』をすべきと考えられます。

よくあるご質問はこちら
お問い合わせの多いご質問をまとめました。