論文紹介 2023.09.22
こんにちは。仙台院培養士の佐々木です。
現在先進医療として適応されているSEET法について、以前のコラム(https://ivf-kyono.jp/column/4321/)にてその方法とメリット・デメリットについてご紹介させていただきました。
今回はSEET法の臨床研究として報告された論文をご紹介いたします。
「Stimulation of endometrium embryo transfer can improve implantation and pregnancy rates for patients undergoing assisted reproductive technology for the first time with a high-grade blastocyst」
Goto S.,et al. Fertil Steril. 2009
子宮内膜刺激法 (SEET法)は、初めて胚移植を行う症例が高グレード胚盤胞移植と併用することで着床率・妊娠率を向上させる可能性があるという内容です。
[対象・方法]
OHSS予防のため新鮮胚移植をせず全胚凍結した144症例をランダムに①凍結胚盤胞移植 (FBT)のみ、②未使用の培養液注入+FBT、③SEET法+FBTの3群に48症例ずつ振り分け着床率 (β-hCG陽性)と妊娠率 (GS陽性)を比較しました。
この検討では全ての胚でHatchingもしくはHatchedしたもの (当院ではGardner分類に基づき5もしくは6と評価している胚)を移植しておりました。
[結果]
①②③の3群をそれぞれ良好胚 (High-grade)、不良胚 (Low-grade)に分けて着床率と妊娠率を比較した結果、良好胚を移植した③で着床率と妊娠率のどちらも高い値となりました。(TABLE1)
次にFSH基礎値と不妊期間を考慮して比較し直したところ、良好胚を移植する場合①に比べて③で着床率と妊娠率が高くなるという結果になりました。(TABLE2)
[まとめ]
初回のART治療を受け単一FBTを施行する場合、良好胚移植とSEET法を併用すると着床率・妊娠率が向上する可能性があると示唆されました。
SEET法と併用した群だけではなく、未使用の培養液をFBT前に子宮内に注入した群でも着床率・妊娠率が高い値となったことから、培養液中の成分が胚から分泌される成分と同様の作用をした可能性があります。そのため、追加の検討が必要であると考えられます。
当院では現在、SEET法は先進医療Aとして保険診療と併用が可能です。保険適応に向けてどのような症例の方に効果があるのか検討を重ねております。
SEET法の適応としては、「不妊症(卵管性不妊、男性不妊、機能性不妊又は一般不妊治療が無効であるものに限る。)」
とされていますので、体外受精を受けられる方はすべて対象となります。
当院では、必要に応じて担当医からご紹介いたします。
今後も皆様にとってより良い治療を提供できるように努めてまいります。
疑問点、不明点などございましたら、お気軽にお問い合わせください。
関連ページ:
SEET法について(https://ivf-kyono.jp/column/4321/)
京野アートクリニック仙台
培養部 佐々木千紗
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