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医療コラム

コラム 2023.11.24

保険診療で正しい男性不妊治療を 病気のはなし① インフルエンザやコロナなどの発熱する病気が精液所見に与える影響

コロナは落ち着いてきたもののインフルエンザは・・

2020年初頭からコロナが猛威を振るい、残念なことに現在も続いています。しかしながら初期に比べるとかなり毒性も落ちて、発熱はするもののインフルエンザ程度の症状で済むようになってきました。
しかしながら今年はインフルエンザも流行が早く、インフルエンザ流行レベルマップでは、昨年の42週目あたりと比較するとかなりの検出数となっております。逆にコロナ感染症は減少しておりますが、令和5年5月8日から5類になっているため、測定にバイアスがかかっている可能性は考慮する必要があります。
冬は発熱性の感染症が増える時期ですが、このような感染症は男性の精液所見にどのような影響を与えるのでしょうか。

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https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-map.html
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2023年コロナ感染症 全国の定点当たり報告数
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus.html

ウイルス感染や発熱が精子に与える影響

ウイルス感染が精子の形成に与える影響の形には2つのタイプがあります。
一つは大人のおたふくかぜ(ムンプスウイルス)のように精巣自体に感染や炎症が起こり、精子を作る細胞を壊してしまうものです。これらのウイルスは感染すると多くは精液からそのウイルスが検出されます。このような疾患は治った後も精子が少ない状況や無精子症になったりします。
それに対し、コロナやインフルエンザのような感染症などの一過性の精巣機能低下を起こすものです。しかし、機序はまだ不明なものの、「発熱による精巣温度の上昇が生殖細胞に有害」「ウイルス感染自体が精巣炎や精巣に影響を起こし、一過性の精巣の精子形成やホルモン産生機能が低下する」などが考えられます。1)
最近はコロナ感染症は精巣自体に感染を起こす場合があり、精巣炎を起こしているという報告も出てきました。今後の動向を見ていく必要があると思います。

コロナやインフルエンザは性行為で感染するか。

インフルエンザは感染者の精液中から検出されたという報告はありません。そのため性交渉で感染する可能性は低いでしょう。
コロナウイルスは一部の患者で精液中から検出されたと報告がありますが、データが不十分で明らかなことは分かりません。しかしながら、パートナーと生活を共にしていることや、密着して行う性交渉はパートナーからの呼吸器を介しての感染のリスクとなります。性交渉からの感染をことさらに心配するよりは、予防接種を受けたり、手洗いうがいなど日々の予防に努めることが重要と考えます。

コロナやインフルエンザにかかったらどのくらいで精子は回復するのか

感染症で精液所見がどのくらい落ちるかというのは、実は調べることは非常に難しいとされています。まずもって、精液検査自体を感染前の健康な時に受けている人が少なく、またその人がタイムリーにコロナ後に精液検査を受けることも必要になります。
コロナ感染の無い健康なボランティアと感染後の患者を比較した試験では精子濃度が下がっていると報告されています。また別の報告ではコロナ感染から回復後56日で最初の検査行った場合よりも、84日(中央値)で実施された検査で有意に所見が改善したとしています。ヒトの精子形成には74日かかると推定されているため、おおよそ精子が完全に入れ替わる3ヶ月程度で元に戻ってくると考えてよさそうです。3)
ただし注意しなければならないのは、コロナもウイルスのタイプによって症状が大きく異なり、特性も変化をしていくため、こういった回復期間や精巣に対する影響も変わっていく恐れがあります。

対策として

コロナ感染症、インフルエンザともに予防接種を受けることで軽症化できますし、インフルエンザはタミフルなどの抗インフルエンザ薬があります。これらの薬をうまく使うことと、日々の手洗い・うがい、感染しそうなところには近づかないこと等である程度予防は可能です。
今後コロナの予防接種についてや、長期的な不妊治療の成績などについても書いていければと思っています。また読んで頂ければ幸いです。

1) Teixeira TA, Oliveira YC, Bernardes FS, Kallas EG, Duarte-Neto AN, Esteves SC, Drevet JR, Hallak J. Viral infections and implications for male reproductive health. Asian J Androl. 2021 Jul-Aug;23(4):335-347. doi: 10.4103/aja.aja_82_20. PMID: 33473014; PMCID: PMC8269834.
2) Tiwari S, Kc N, Thapa S, Ghimire A, Bijukchhe S, Sah GS, Isnuwardana R. Semen parameters in men recovered from COVID-19: a systematic review and meta-analysis. Middle East Fertil Soc J. 2021;26(1):44. doi: 10.1186/s43043-021-00089-w. Epub 2021 Dec 2. PMID: 34876801; PMCID: PMC8638229.
3) Hu B, Liu K, Ruan Y, Wei X, Wu Y, Feng H, Deng Z, Liu J, Wang T. Evaluation of mid- and long-term impact of COVID-19 on male fertility through evaluating semen parameters. Transl Androl Urol. 2022 Feb;11(2):159-167. doi: 10.21037/tau-21-922. PMID: 35280660; PMCID: PMC8899150.


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