コラム 2018.04.17
今回のコラムは高輪検査部の朝倉が担当させていただきます。
少し前から検査室の扉にAMHについてのお知らせが貼ってあるのは、皆様お気づきでしょうか?
今回は、その「AMH」についてお話ししたいと思います。
血液検査で測定のできるAMHは「抗ミュラー管ホルモン」というホルモンで、卵巣予備能力つまり卵巣年齢を反映するといわれています。
なぜ卵巣年齢といわれるかというと・・・
女性の卵巣には生まれた時から原始卵胞が備わっています。原始卵胞はいくつかの過程を経て胞状卵胞になり、毎周期1~2個が排卵まで至ります。その過程の1つである「前胞状卵胞」の顆粒膜細胞からAMHが分泌されています。
生まれた時には約200万個備わっている原始卵胞ですが、1周期に約1000個ずつ消失してしまいます。各過程では一定の卵胞が備わっているため、原始卵胞が減って各過程における卵胞が少なくなると、AMHの値も低下してしまいます。
年齢を重ねるにつれてAMHが低下してしまうのは、避けては通れないのです。
AMHで卵巣年齢が分かるとお話してきましたが、AMHは卵胞の個数を表すものであり卵子の質を評価するものではありません。
当院においてもAMH<1.0ng/mlの患者様が多数妊娠されています。そのため、AMHが低値だから妊娠できないというわけではなく、その値を踏まえてご自身に合った治療方針を考えて、質の良い卵子の獲得を目指します。
しかしAMHの値にも個人差があります。
閉経の時期がみんな異なるように、生まれつき備わっている原始卵胞の数は必ずしも同じというわけではありません。POF(早発卵巣不全)は40歳未満での無月経をいい、卵巣内の卵胞が枯渇してしまっている状態のため、AMHは非常に低値を示します。
逆にAMHが高値でも良いわけではありません。AMHが高いということは排卵が上手く出来ておらず、卵巣内に卵胞が溜まってしまっている状態にあります。これをPCOS(多嚢胞性卵巣)といいます。
上手く排卵できていないということは、月経も不規則であったり来なかったりということになります。
AMHは治療の指標になる大切な検査です。
最後にAMHを測定したのはいつでしょうか?
当院では年に一度の測定を推奨しています。
定期的に自身の卵巣年齢をしっかり把握して、より質の良い卵子を1つでも多く得ることが出来るよう、自分に合った治療方法を進めていきませんか?
高輪検査部 朝倉
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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