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医療コラム

論文紹介 2019.08.30

精子だって見た目だけじゃない!!~精子DNAの損傷が胚の発生に及ぼす影響~

 

近年、メディアで卵子の質についてはよく取り上げられていますが、

実は精子の質も重要で、”見た目が良ければそれで良い!”というわけではないのです。

 

不妊症の検査で精液検査を行いますが、そこでは精子の数や運動率、運動性や形などのいわゆる「見た目」を調べています。

しかしそれらが正常であっても精子の「質」を司る核の異常が原因で妊娠に繋がらないケースがあるのです

この質の異常の一つに、精子のDNA損傷が挙げられます。

実際にDNAに損傷がある精子では受精や胚(受精卵)発生に悪影響となり、

結果妊娠に結びつかなくなることがあるということが考えられています。

 

当院ではこの精子のDNA損傷を調べる検査としてHalo sperm test(ハロースパームテスト)と言う検査を実施しております。

この検査では精子を染色し、精子頭部の染まり方によってDNA損傷の有無を視覚的に判定することができます。

精子のDNA損傷は、酸化ストレスによって引き起こされると考えられており、

喫煙や肥満などの生活習慣に加え、

最近では精索静脈瘤による酸化ストレスの影響が大きいという指摘がされています。

実際に当院でも、精索静脈瘤がある患者様は基本的には静脈瘤手術の前後でこのHalo sperm testを実施して

その改善具合を調べていますし、患者さんのご希望や医師の指示でその他の方も検査を実施しております。

 

2019年3月に公開された論文においても、精子DNAの損傷は胚の発生に影響している可能性があることが報告されています。

 

Double-stranded sperm DNA damage is a cause of delay in embryo development and can impair implantation rates

Fertility and sterility, vol.111, No.4, April 2019 0015-0282

Aida Casanovas et al.

 

こちらの論文では、より詳細にDNA損傷の状態を1本鎖DNAとそれが螺旋状に結び付いた2本鎖DNAに分けて調べたところ、

1本鎖DNAは胚の発生に差は認められませんでしたが、

2本鎖DNAでは、損傷が高いグループで第2極体の放出、4細胞期、8細胞期、桑実胚期、胚盤胞になるまでの時間が遅れており、

着床率が低下したとの結果が出ており、

精子の“中身”の異常が妊娠に対してマイナスの影響を与える可能性があることが報告されています。

 

不妊症の原因は男女半々と言われています。

女性だけでなく、男性の生活習慣もこのように妊娠へ影響を与えています。

精索静脈瘤の疑いがある場合には、

現在保険適応の日帰り手術で実施が可能となっています。

生活習慣が気になる方は、禁煙・適度な運動とバランスの良い食事から心がけてはいかがでしょうか。

 

高輪培養部 小松 沙織


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