コラム 2020.06.18
日本産婦人科学会主導で行われている、着床前胚染色異数性検査(PGT-A)の特別臨床研究に当院も参加することとなりました。
・PGT-Aとは?
体外受精によって得られた胚の染色体数を移植する前に網羅的に調べる検査です。胚に染色体数に過不足があると(異数性胚)、移植を行っても妊娠が成立しない、あるいは流産や死産になることが知られています。この染色体数の過不足はどなたの胚にも起こりうる現象ですが、特に女性では年齢上昇に伴い染色体数の過不足をする卵子が増加することから、胚にも異常が認められやすくなることがわかっています。
受精卵を5日培養すると胚盤胞と呼ばれる状態まで成長します。PGT-Aではその一部の細胞を切り取って調べます。下の図は女性の年齢別に胚で見られる染色体異数性の出現率を示したグラフです。
30歳でも胚盤胞4個に1個異数性胚がみつかり、30代半ばで3個に1個、38歳では半分が異数性胚となります。さらに40歳では60%、42歳では4個に1個しか染色体が正常な胚が見つからないことになります。
残念ながらこの染色体の過不足について、胚の見た目では判断することができません。PGT-Aを実施し、正常な受精卵のみを移植することで着床率を上げること、そして流産率を下げることが期待されています。
・実際に胚に対してどのようなことをする検査なのか?
受精卵の培養5日目になると、胚盤胞と呼ばれる状態まで成長します。この胚の将来胎盤になる部分の一部の細胞を採取し、染色体数を調べる検査です。
このように胚の一部分を取り出す方法なので、少なからず胚へのダメージが生じる可能性がありますが、現状ではこの技術が生まれてくる子に影響を与えるという報告はなされていません。
・対象となる方
PGT-Aはまだすべての患者さまに行える技術ではなく、特別臨床研究として、次のような方が適応となります。
以下のフロー図を参照してください。
上記に当てはまる方でPGT-Aをご希望の方は、以下の申し込みフォームからお問い合わせください。該当するか分からない方は問診時に医師、スタッフへご確認ください。
詳細はこちらからご確認いただけます。
参考文献:医学書院 PGT-A/PGT-SR実践ハンドブック
京野アートクリニック仙台 勝然寿美
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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