コラム 2020.11.26
皆様、こんにちは。
最近不妊治療への保険適用が話題になっていますが、本日は保険適用になる治療をご紹介をしたいと思います。
不妊治療をされていて、卵管に原因が見つかった場合、体外受精しかないと思われていませんか?卵管は、卵子と精子が受精する大切な場所ですから、詰まっていたり、狭くなっている場合には通りをよくしてあげる必要があります。
それを可能にするのが卵管鏡下卵管形成術(以下FT)という治療法です。
不妊症の中でも、卵管に原因があるものが高い割合を占めています。FTにより卵管の通過が改善されれば、自然妊娠につなげることができます。
対象は?
・子宮卵管造影検査で卵管間質部での閉塞や卵管狭窄(通過があるがかなり狭い)と診断された方で体外受精ではなくタイミング法や人工授精での妊娠を希望している方。
卵管采の閉塞の方はFTの適用にはなりませんので腹腔鏡での手術が必要になります。
当院では行っておりません。別途ご相談下さい。
手術方法は?
・腟および子宮を経由して、FTカテーテル、バルーン(風船)、卵管鏡(光ファイバーの極細のカメラ、胃カメラのごく小さいようなものであるとお考え下さい。)を卵管口から卵管内に挿入します。卵管鏡(0.6mm)先端バルーン(1.2mm)を膨らましながらゆっくりと、トンネルを掘るように進めていきます。卵管が狭窄あるいは閉塞している部分を通す際に抵抗がありますが、風船の圧力を高めて鈍的に開通します。最後に卵管内の様子を確認しながら卵管鏡をゆっくり引き戻します。
麻酔は?
・静脈麻酔または局所麻酔をかけて行いますので身体への負担が少なく痛みはほとんどおりません。
手術時間は?
・15〜30分です。
入院は?
・入院はなく日帰りでの治療が可能です。
治療成績は?
・自然妊娠あるいは人工授精での妊娠は術後3ヶ月以内に多く(1ヶ月あたり約20%;原因や女性の年齢、精液所見などにもよる)、妊娠されている方の90%以上は術後半年以内に妊娠されています。術後の妊娠率は、一般的に30~40%程度です。
半年以上経過しても妊娠に至らない場合は、卵管の機能に問題があるか卵管以外の問題があると考えられ、体外受精(顕微授精)の適応となります。
料金は?
・健康保険の適用となります。高額医療保障制度が適用されます。
子宮卵管造影は怖い検査・痛い検査と思われていますが、当院では自動注入器を使用することにより少ない負担で検査が可能です。万が一、卵管の通過性に異常があった場合でもFTのような治療方法もあります。まずは、卵管の検査を受けることをお勧めします。
また、他院などで卵管通過障害と診断を受け、お困りの患者様は当院へご相談下さい。
参考文献・資料
https://ft.terumo.co.jp/medical/material.html
仙台看護部 内久保
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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