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医療コラム

コラム 2021.09.22

がん患者生殖機能温存治療費助成金制度について

今回は小児・AYA世代のがん患者さまの妊孕性温存の治療にかかわる助成制度についてお話します。

※小児・AYA世代:小児は15歳未満、AYA世代は思春期・若年成人(Adolescents and Young Adults)といい、一般的には15~39歳の方を指します。

 

〇妊孕性・妊孕性温存療法について

妊娠するために必要な能力を指す「妊孕性」はがんを治すために必要な手術や抗がん剤・放射線治療などのがん治療による影響を受け、将来妊娠できなくなる可能性があります。

 

妊孕性温存について、詳細に知りたいという方は以下も参考にしてください。

http://203.183.146.49/medical/fertility-preservation/

 

そして、治療後に妊娠できる可能性を残し安心して治療に臨むため、これから治療を受けられるがん患者さまの妊孕性を守るためにがん治療の前に行う治療のことを妊孕性温存療法といいます。具体的に卵子や精子などの配偶子・卵巣組織や精巣組織、胚(受精卵)などの生殖細胞を体外に取り出し凍結保存を行います。

 

〇日本がん・生殖医療登録システム(JOFR)について

治療のために妊孕性が損なわれる可能性があるがん患者さん等に対して、「精子・卵子の凍結などの妊孕性温存に関するカウンセリングや治療のための医療体制の実態を把握」し、「10〜20年以上の長期間にわたってがんや妊娠の成績を追跡・解析し、医療体制や治療成績のさらなる向上に結び付く」ように、患者さんのデータベースを作成しています。

助成事業に参加するためには、このJOFRへの登録が必須であり、当院もこの登録を進めています。

 

後日、患者様にもご案内させていただきますが、今後のフォローアップの際には、患者様ご自身で治療の状況などを入力いただくことも必要となります。

 

〇東京都若年がん患者等生殖機能温存治療費助成事業について

生殖機能に影響するおそれのある治療(下記参照)を受けるがん患者さん等に対して、生殖機能温存治療及び妊娠のための治療に係る費用を東京都が助成するものです。

助成対象は「生殖機能温存治療」「組織等の凍結更新」「妊娠のための治療」の3種類です。

 

本制度は先日申請受付を開始したばかりですが、2021年4月以降の治療分に関しては遡っての申請が可能です。

 

【助成対象となる原疾患の治療内容】

この制度による助成の対象となる方は、生殖機能に影響するおそれのある治療等として、東京都が認める以下のいずれかの条件に当てはまる方です。

1.「小児、思春期・若年がん患者の生殖機能温存に関する診療ガイドライン(日本癌治療学会)」の妊孕性低下リスクに分類された治療のうち、高・中間・低リスクの治療

2.長期間の治療によって卵巣予備能の低下が想定されるがん疾患

※ 乳がん(ホルモン療法)等

3.造血幹細胞移植が実施される非がん疾患

※ 再生不良性貧血、遺伝性骨髄不全症候群(ファンコニ貧血等)、原発性免疫不全症候群、先天代謝異常症、サラセミア、鎌状赤血球症、慢性活動性EBウイルス感染症等

4.アルキル化剤が投与される非がん疾患

※ 全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、多発性筋炎・皮膚筋炎、ベーチェット病等

 

【助成対象となる温存治療及び上限額】

本事業の助成対象の治療と助成上限額は以下のとおりです。治療1回につき、以下の金額を上限に、実際にお支払いになった金額を助成します。

対象となる治療 1回の助成上限額
精子凍結 5万円
精巣内精子採取術を伴う精子凍結 35万円
卵子凍結 30万円
胚(受精卵)凍結 40万円
卵巣組織凍結 70万円
卵巣組織再移植 60万円

 

 

【当院での書類の申請について】

東京都の公式ホームページ(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/iryo_hoken/gan_portal/chiryou/seishoku/youshiki.html)より様式第2号または第5号「若年がん患者等生殖機能温存治療受診等証明書」をダウンロードしていただき、当院の受付窓口へお申し込みになるか、発行手数料(3,670円)と共に現金書留でご郵送ください。

作成にお時間をいただきますのでその他に必要な書類のご用意をお願いいたします。

 

詳しい助成要件、申請方法につきましては東京都の公式ホームページ(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/iryo_hoken/gan_portal/chiryou/seishoku/josei.html)をご覧ください。

 

※当院では領収書・明細書の再発行は出来かねます。

申請に必要な書類ですので紛失されないようにお願いいたします。

 

 

京野アートクリニック高輪

受付部 清水 桃子

 

 

 

 

 

引用・参考文献

・オンライン登録事業ー日本がん・生殖医療登録システム(JOFR)

http://www.j-sfp.org/about/registry.html

 

・東京都若年がん患者等生殖機能温存治療費助成事業

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/iryo_hoken/gan_portal/chiryou/seishoku/josei.html

 

・京野廣一「がんでもママになるのをあきらめない」サンクチュアリ出版 2021年2月

 


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診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)

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