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医療コラム

卵巣凍結について 2022.08.20

卵巣組織凍結とESHRE(ヨーロッパ)ガイドライン(2020) 

Europe society of human reproduction and embryology:ESHRE)より2020年に発表された妊孕性温存のガイドラインでは,情報提供とサポート,温存前の評価,介入,治療後のケアに関する78の推奨事項が提示されました。

対象はがん患者のみならず,①がん患者,②良性疾患だが妊孕性を低下させる治療が必要な患者,③トランスジェンダーの男性(出生時女性),④加齢リスクのある女性であり,妊孕性温存を考え得る幅広い状況を対象としています。ESHREの本ガイドラインは,50のエビデンスに基づく推奨事項を含み,そのうち31 は強い推奨,19 は弱い推奨事項として策定されています。

卵巣組織凍結に関して,

” The slow-freezing protocol should be used for OTC as it is well established and considered as standard. “STRONG”.

Vitrification of ovarian tissue should only be offered within a research program. “RESEARCH ONLY”

「卵巣組織凍結に関しては緩慢凍結法が確立された標準プロトコールです(強い推奨)。卵巣組織凍結におけるガラス化法は研究プログラムの範囲でのみ行われるべきです(研究でのみ使用)。」と要約されます。

欧州5施設(各施設20例以上のOTT実績あり)の臨床成績では,移植当たり妊娠率37%(106/285),生産率26%(75/285)と報告されています.このような実績から上記のガイドラインが作成されています。その5か国とはBelgium(29)、France(53) , Spain(53) 、FertiPROTEKT(88) 、Denmark(62)です。特にFertiPROTEKTとDenmarkは卵巣組織センターを限られた1~5か所に限定し、“搬送”を活用することにより、より多くのの患者さんの卵巣組織を凍結保存し、移植も積極的に行っています。5か国の中でもこの2か国で285例の移植の内の150例、つまり半分以上を実施しています。効率良く、最小限の労力で、最大限の効果を上げていると言えます。

それでは何故、卵巣組織凍結Slow freezing(緩慢凍結)なのでしょうか?

 

2022年8月19日

HOPE(日本卵巣組織保存センター) 京野廣一

 


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