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医療コラム

卵巣凍結について 2022.11.04

卵巣組織凍結と凍結卵巣組織融解移植:HOPE(日本卵巣組織保存センター)とFertiPROTEKT 

FertiPROTEKTはドイツ、オーストリア、スイスの3か国でネットワークをつくり、2007年から卵巣凍結を開始しており、今や世界最大の妊孕性温存ネットワークとなっています。

HOPEは同様の卵巣凍結が実施できるように彼らからの技術指導を受けて設立しました。

 

FertiPROTEKTの特徴は

1)卵巣摘出(内視鏡専門医)は地方へ分散:120か所以上で行う。

患者さんにとっては分かりづらいことかもしれませんが、片側の卵巣を腹腔鏡下で摘出する手術というのは決して専門医からすれば、難易度の高いものではありません。

いくつかの注意点はありますが、それを守れば、多くの施設で実施が可能です。

また、卵巣を摘出する際は、患者さんはご病気の治療中であることも想定し、できる限り居住地や治療を受けているエリアから離れないというのも、患者さんの負担を下げる上では大切なことです。

2)凍結方法は“緩慢凍結法“を採用している。

ESHREガイドライン(2020)では「卵巣組織凍結は“緩慢凍結”が確立されて方法であり、標準プロトコールである。ガラス化法は研究のみに用いるべきである」と記載されています。

 

3)卵巣組織凍結(生殖医療施設)は数か所に集約

ボン、デュッセルドルフ、エルランゲンの3施設に集約して、実施しています。

摘出した卵巣組織を処理し、凍結するには熟練度の高い技術者と凍結技術が必要不可欠です。

 

4)卵巣組織移植(生殖医療施設&内視鏡専門医)も数か所に集約(エルランゲン)。

卵巣組織の移植を行うには、患者さんのどの場所に、どのようにして移植を行うか、しかもそれを短時間で実現することが必要となり、とても高い技術が求められます。

凍結卵巣組織の融解にあたっても、短時間で組織処理を行うなどの連携が欠かせません。

妊娠率も移植件数10件以上の場合の方が、10件未満より有意に高い成績でした。

 

そのため、集約化が極めて重要な意味を持ちます。

実際、移植手術を受ける頃というのは、原疾患の治療医から書面による妊娠許可が出ている状態なので、患者さんの健康状態は良好です。

そのため、患者さんにも協力していただいて、指定された施設で実施するということが求められます。

 

5) 3)4)を可能にするために搬送(Transportation)を活用する

24時間以下の4℃での搬送であれば、その後の移植成績にも影響がないことが報告されています。

 

ちなみに2012年にドイツで妊娠出産に成功した患者さんは2007年にドレスデンで卵巣摘出し、それを4℃、20時間でボンまで搬送し、ボンで凍結保存しています。その後、妊娠を希望され、2011年にエルランゲンで移植を行い、妊娠し、ドレスデンで出産しています。

 

簡単に、Human Reproduction(2022)に掲載された最も新しいFertiPROTEKTの論文を紹介します。

Lots L. et al. Hum Reprod(2022) .

Determinants of transplantation success with cryopreserved ovarian tissue: data from 196 women of the FertiPROTEKT network.

 

この論文では196名の女性に244回卵巣組織移植を行い、患者当たり32.7%に妊娠率、26.5%の生産率を報告しています。すでに52名の赤ちゃんが誕生しています。

凍結時の年齢は35歳未満が43名、35歳以上が9名でした。やはり、若い時に凍結した患者の妊娠数が多いという点がポイントです。

感想としては、卵巣摘出する施設は全国に120施設以上あり、卵巣凍結を数施設、卵巣凍結も数施設に限定することにより、その分野の専門家に実施してもらうことにより、効率良く、結果として良好な成績(出産52名は世界一)を出しています。

実際に卵巣の移植手術の実施件数が多い施設の方が成績は良いことも示されています。

それに比較して日本は数少ない患者(350名程度)を36施設で卵巣凍結(大部分がガラス化法を採用)を行っており、しかも1施設当たりの患者数も少なく、Qualityが高まらないことが危惧されます。

つまり、患者が分散されることにより、卵巣組織移植の実施数も少なく、妊娠率も低い、ということです。

日本には1,200人以上の内視鏡専門医が香川県を除いた46都道府県に在籍しており、どこでも内視鏡下での卵巣摘出が実施可能です。つまり、日本全国で卵巣摘出は実施可能なベースは日本に既にあると言えます。

そこに、2~3の経験豊富な卵巣組織凍結(生殖医療施設)/卵巣組織移植施設(内視鏡専門医)があれば、FertiPROTEKTのように得意分野を活かして最小限の労力で、最大限の効果を得ることが可能となります。

目的は均てん化(日本どこに住んでいてもOTC/OTTが可能)、手段は集約化です。


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