コラム 2023.02.03
こんにちは。
生殖医療相談士の越智です。
さて、東京都では、国に先駆けて、妊娠への後押しを表明しており、
今回、日本経済新聞で予算案が発表されています。
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20230203&ng=DGKKZO68140700S3A200C2L83000
個人的に気になる点を紹介したいと思います。
卵子凍結への助成は、200人に行う予定となっています。
正直な感想としては、あっという間にこの数は埋まってしまうことになると思いますが、
これで1億円の予算ですもんね。助成するということの大変さを垣間見たような思いがします。
一方で、気になる点としては、施設基準です。
卵子凍結が治療として、本当に意味があるものなのか、ということに答えるためには、成績の開示が欠かせません。
日本産科婦人科学会のように、専門医が在籍しているなどのクォリティを予想させる点も必要でしょう。
ただでさえ、自費の治療ですから、この点を後付でも良いのでどのように埋めていくのかが求められるのではないでしょうか。
凍結実績、という点は非常に難しい問題で、
何人の患者さんの何個の卵子を凍結した、というのは実は凍結実績というのは正しくありません。
なぜかというと、凍結した時点では、本当に卵子を安全に凍結できたのかというのはわからないのです。
卵子を使用する時には「融解」しますが、その時にはじめて、安全に凍結できていたんだな、ということがわかります。
この融解後の生存率については、昨年Yahoo!ニュースなどでも報道されましたが、施設によっては50%などの報告もあります。
なので、10個凍結できても5個しか使えない、という施設もあれば、同じ条件で9個使える施設もあります。
それでも外見は同じ様に「生殖補助医療施設」という映り方になりますから、
患者さんはどう選べば良いのかわからなくなります。
そうなると、結果的には「見せ方」の上手なところに行ってしまうという、
医療の本質からは少し外れたところに着地してしまうことになります。
この点を行政がどのように構築していくのかで、その本気度が見えるように思います。
女性の持つ卵子の数を推測する検査として知られるAMH検査も助成内容に入っています。
これにより、結婚しているけどまだ子どもは・・・というような方々に対して、自分の妊娠できる力を把握しておけるようにしようという意図だと思います。
素晴らしい取り組みだと思います。
不妊検査の助成金が継続中なので、そっちが残るのか、廃止になるのかも気になる点です。
もし、廃止になるのであれば、男性の精液検査も女性のAMH検査と同じ用に、カジュアルに受けられるような助成があると素晴らしいと思います。
当院でも、このAMH検査と精液検査は、プレ妊活チェックとして提供しています。
これはとても大きなチャレンジだと思います。
凍結卵子を用いた治療は、現在の保険診療制度では自費診療扱いになってしまいますので、
自己負担がとても大きくなることが知られています。
ただ、上記の通り、卵子凍結の目的はあくまで将来の妊娠であるため、
凍結しやすくすることよりも、まずは凍結しておいたものを利用しやすくすることが大事だと思います。
この制度で気になる点としては、過去に凍結しておいた卵子も対象になるのかどうか、ということですが、
おそらく予算計上されていることを思うと、過去の凍結卵子は使えるのだろうと、推測します。
随時、UPDATEされれば、ここで更新していきたいと思います。
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