コラム 2023.11.30
6月22日、23日ドイツのデュッセルドルフ大学の卵巣組織凍結の施設見学をしてまいりました。
ドイツは日本との時差は7時間あります。気温は低いですが日差しはかなりきつく、サマータイムも重なり夜9時過ぎでも外が明るくヨーロッパ独特の感覚を味わうことができました。
6月22日/23日 UniCareD ,cryobank訪問/卵巣組織凍結見学
デュッセルドルフ大学に訪問。午前中はDr Jana Bender-Liebenthron (Ph.D.) から施設およびFertiPROTEKTでの活動の紹介をしていただきました。
FertiPROTEKTではドイツの20施設、スイスの7施設、オーストリアの3施設、の計27施設に卵巣を集約することで多くの卵巣凍結が可能となっています。2007年ら2019年の卵巣組織融解移植247件のうち127件はOvernight transportationによるものです。
(卵巣組織凍結自体は4000件以上の実績があります)
凍結した卵巣組織はBiokryo ( https://biokryo.airliquide.com )という24時間管理体制の凍結専用の外部施設に保管を委託しているそうです。
移植片の平均的な枚数は3、4枚。凍結時のAMHおよびviability testでの卵胞密度を参考に算出し、年齢が高い、AFCの数が少ない場合には移植枚数を増やすことが推奨されています。
午後からDr Markus Montag(Ph.D.)も来てくださり、凍結物の保管に関するレクチャーを受けました。
卵巣凍結の問題のひとつとして凍結物の保管の標準化がさてれていないことを指摘していました。学会で提示されているガイドラインはあるものの、国ごとに適用となる基準や法律が異なることが要因となっているようです。
また、凍結物の管理に関して、過去にあった凍結物のアクシデントを示しながら、
より厳重な管理の必要性についてレクチャーして頂きました。
HOPEでも実践していることもありますが、やれることはすべてやるという認識をもっても足りないくらいの慎重さが必要だと感じました。
22日に卵巣凍結が3件入り、うち1件の組織処理の見学をさせていただきました。cryobankではGMPを遵守しており、入室時に2段階の着替え(スクラブに着替えた後さらに滅菌ガウンを着用)が必要でした。クリーンルーム内での作業も無菌操作が徹底されていました。それ以外にも、試薬を保管する冷蔵庫にアラームが取り付けられていたり、作業中の温度(4℃に冷やした作業台上でのmedium温度)の実測値の計測も定期的に行っているそうです。厳密な管理に驚きました。
Janaの組織処理はとても丁寧でかつスピードもはやく、出来上がった組織の綺麗さにも個人的にとても感動しました。
高輪培養部 福岡由利子
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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