コラム 2023.12.28
採卵において穿刺した卵胞の大きさと胚発生の関係について検討した論文を紹介させていただきます。
卵巣刺激では卵胞を発育させてトリガーを使用した後に、約36時間後に採卵を実施しています。このとき穿刺される卵胞の直径は10 mm未満から28 mm超までの幅があり、一般的に20 mm近い自然排卵周期のものとは大きく状態が異なる可能性があります。
卵子の成熟、受精、および初期胚の形態が、元の卵胞の大きさと関連があることは多くの研究で明らかにされていますが、胚盤胞の発育と卵胞サイズの関連を調べた研究は少ないです。
今回筆者らは採卵において穿刺した卵胞サイズごとにわけてその後の胚発生について検討を行いました。
<方法>
超音波検査によって各卵胞の大きさを測定しつつ採卵を行い、成熟卵子にICSIを施行した後、卵胞サイズごとに8つのグループに分けて培養されました。採卵数、成熟卵子回収率、正常受精率、良好胚盤胞到達率などを卵胞サイズグループ間で比較し検討を行っています。
8グループ [≦9.5 10-12.5 13-15.5 16-18.5 19-21.5 22-24.5 25-27.5 ≧28 mm]
<結果>
1回穿刺当たりの正常受精数(②)、採卵数(④)、良好胚盤胞到達率(⑤)、成熟卵子数(⑦)は卵胞サイズグループ間で有意に高い結果が得られました。採卵数当たりの成熟率(③)、正常受精当たりの良好胚盤胞到達率(⑨)も卵胞サイズと関連がありました。
成熟卵あたりの受精率(⑥)は卵胞サイズ間で有意差はなかったのに対し、正常受精当たりの良好胚盤胞到達率(⑨)は卵胞の大きさに従って増加したことから、卵胞サイズが成熟率や初期胚の形態のみならず胚盤胞の発育にも影響していることが示唆されます。穿刺数当たりの良好胚盤胞到達率(⑤)は卵胞サイズと相関して増加し、19 mmでピークを迎えて以降、最大を大きく下回ることなく安定していました。
すなわち、小さな卵胞は採卵効率、胚発生ともに低い数値となり、一方で、大きな卵胞は成熟率や良好胚盤胞到達率がピークから大きく低下することなく保てました。OHSSのリスクや新鮮胚移植を行う場合は考慮する必要がありますが、小さな卵胞のために刺激を継続しても良いと筆者らは述べています。
倍数性は卵胞径のグループ間には有意差はありませんでした。
当院では、アンタゴニスト法やクロミフェン法、PPOS法、ランダムスタートなど様々な卵巣刺激法で最大効率で卵子を獲得できるよう調整しており、最短での妊娠を目指し取り組んでおります。
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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