論文紹介 2024.01.31
カフェインは健康に良いのか、悪いのか様々な議論があります。最近ではエナジードリンクとして大量のカフェインが入った飲料が簡単に購入でき、愛好家もいます。僕も疲れた時には何となく買ってしまい、飲むとしゃきっとする感じがします。ちなみに味的にはモンエナの白が気に入っています。
男性不妊症とカフェインの関係性については、明確な結論が得られているわけではありません。しかし、いくつかの研究がカフェインの摂取量と男性の不妊症リスクとの関連性を示唆しています。
ある報告では、無精子症または乏精子症の男性において、コーヒーの摂取と精子の異常との間に関連性は見出されませんでした。1)
一方でカフェイン摂取が100 mg/日未満を摂取した人と比較して、400 mg/日を超える人は、不妊のリスクが高まるとする報告もあります。2)
また別の報告では適度な量のカフェインをとる場合は問題ないものの、毎日大量のカフェイン(308–1070㎎)を摂取する男性は精子のDNA損傷が増加しているとしています。3)
例えば、一般的なコーヒーのカップサイズ(約240ml)に含まれるカフェイン量は、およそ95mg程度です。また、レッドブルの一缶に含まれるカフェイン量は80mg程度。モンスターエナジーのカフェイン量は100 mlあたり40 mgであり355ml缶のカフェイン量は142㎎だそうです。
これらの例から、400mgのカフェイン量は、コーヒーで言えば、約4杯分の量に相当します。
カフェイン摂取単独で精液所見への影響を評価するのは実のところ困難です。前述の報告では、カフェインの摂取元として砂糖を含んだ炭酸飲料の場合もあり、それらを多く摂取する人は悪い食習慣がある可能性が高いとしています。また、カフェインをコーヒー、紅茶、ココアで摂取すると精子所見の変化は見られなかったものの、炭酸飲料で摂取する場合は悪影響があるとしていました。2)
日本ではコーラやエナドリを大量摂取する方は少ないかもしれませんが、甘い缶コーヒーなどを継続的に摂取して糖尿病になってしまう方は散見されます。カフェインの量も無関係とはいえませんが、それだけの量のカフェインを取る生活習慣を見直した方がいいのかもしれません。
総合的に見ると、男性不妊症とカフェインの関係性については、まだ研究が進んでいる段階であり、結論は明確ではありません。しかし、カフェインの過剰摂取が精子の運動性に影響を与える可能性があることから、男性不妊症のリスクを抑えるためには、適度な量のコーヒー摂取が望ましいとされています。
1)Buiatti E, Barchielli A, Geddes M, Nastasi L, Kriebel D, Franchini M, Scarselli G. Risk factors in male infertility: a case-control study. Arch Environ Health. 1984 Jul-Aug;39(4):266-70. doi: 10.1080/00039896.1984.10545847. PMID: 6497442.
2) Kumar M, Zilate S, Gupta C. Effect of Stress and Caffeine on Male Infertility. Cureus. 2022 Aug 27;14(8):e28487. doi: 10.7759/cureus.28487. PMID: 36176863; PMCID: PMC9513285.
3)Schmid TE, Eskenazi B, Baumgartner A, Marchetti F, Young S, Weldon R, Anderson D, Wyrobek AJ. The effects of male age on sperm DNA damage in healthy non-smokers. Hum Reprod. 2007 Jan;22(1):180-7. doi: 10.1093/humrep/del338. Epub 2006 Oct 19. PMID: 17053003.
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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