論文紹介 2024.02.12
食事をすると、炭水化物は糖分として腸から体に取り込まれ、血液中に放出されます。細胞はその糖分をエネルギーとして利用する際に、インスリンの助けを借りて糖を取り込みます。糖は常に血液中を流れており、適度に細胞に取り込まれ消費されています。糖が少なくなると肝臓から貯蓄分が放出されたり、食事をすることで糖が補充されまたエネルギーになっていきます。
糖尿病はインスリンを作る膵臓が弱ってインスリンが足りなくなったり、インスリンの働きが悪くなったりすることで、糖が血液中に常に過剰に残っている状態をいいます。
多くのいわゆる生活習慣病とされる2型糖尿病では、遺伝的な要因などに加え、運動不足(糖の消費が少ない)や食べすぎ(糖の過剰摂取)などで、糖が過剰になったうえに、肥満の状態ではインスリンが効きにくくなり更に糖の消費がうまくいかない状態になっています。
では血糖値が高いと体どんなことが起こるのでしょうか。
例えば、糖尿病でない人がコーラや甘い缶コーヒーを飲んだ場合も血糖値は上がります。ですが、その高血糖が即座に体に悪影響を起こすわけではありません。疲れてる時や、食事のとれていないときなど、速やかににエネルギーになり、役に立ってくれることもあります。そしてエネルギーとして使われると糖は消費され、血糖値は下がります。
しかし、常に血糖値が高い状態になっていることは問題になります。
血糖値が高い状態が続くと、体の様々な細胞がダメージを受けます。血管なら動脈硬化による脳梗塞・心筋梗塞など、神経細胞ならしびれや知覚障害、不整脈、消化管の不調など様々な症状が出てきます。糖尿病性腎症は透析導入の原因の主な病気の一つです。また目や歯にも影響が出ます。
同様に精子も細胞ですので精子の形成や、精子を形成する周囲の細胞にも少なからず影響があるとされます。
糖尿病はお年寄りの病気と思われがちですが、案外若い方もかかっています。糖尿病が増えてくる年齢は40代からになり、特に男性は女性に比べ増加率が高いです。
当院でも受診される男性は女性よりも年齢層は少し高い傾向であり、40代の方も多くみられます。現在は糖尿病の検査であるHbA1cを初期検査に導入しており、糖尿病が期せずして発見される方もいらっしゃいます。
また、40代での糖尿の有無により、残りの余命に差が出るとするデータもあります。なかなかショッキングなデータですが、24年間の追跡であることを考えると、これはなり古いデータでもあり、最近の糖尿病に対する新薬などの効果を考えると、現在40代で糖尿病である人に当てはまるかは疑問があります。しかしながら糖尿病が当時の薬とは言えコントロールされていたとしても、これだけ寿命に差をもたらすということは、体に対し大きなダメージを与える病気であるとわかります。
これからお子様を希望される方々としては、誕生されたお子様との時間をできるだけ長くとりたいと思う方が多いと思います。糖尿病や高血圧にかかってしまうのは、本人が怠惰な生活を送っているからという方もいますが、遺伝的な要因や、小児期の習慣なども無視できない因子であり、本人の力ではどうしようもない部分も大きいと考えます。しかしながら病気と向き合わず放置をすれば自分に問題が降りかかってくることは明白です。病気を無視せず、付き合っていけるくらいまでコントロールし、健康寿命を延ばしていくことは可能です。最近の糖尿病の薬の進歩は目覚ましく、僕が研修医の頃と比べると選択肢は非常に多くなり、使いやすくもなりました。もし検診などで指摘された時は一度近隣の内科へ受診することをお勧めいたします。
次の回では男性の生殖能力に糖尿病がどのような悪影響を及ぼすかまとめようと思います。ぜひ読んで頂ければ幸いです。
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