学会報告 2024.05.03
先日、第12回HOPEカンファレンスを開催しましたので、その一部を紹介したいと思います。
(主催:一般社団法人卵巣組織凍結を普及する会、共催:京野アートクリニック)
HOPEカンファレンスは、日本全国で地域格差なく高品質な卵巣組織凍結が実現できるように、ということを願い、2016年から開催しております。
参加対象者は主に医師をはじめとした医療関係者です。
特別ゲストとして、デンマークの妊孕性温存のトップランナーであるクリステンセン先生をお招きしました。
国内からも、日本がん・生殖医療学会の高井泰理事長をはじめとした日本の妊よう性温存を支え、最前線にいらっしゃる先生方に演者としてご参加いただきました。
詳細の実施プログラムは以下からも確認いただけます。
https://otc-network.jp/12th-hope-conference
デンマークでは、以前から妊孕性温存の模範的なモデルとして、
「The woman stays, the tissue moves.」というものがあります。
卵巣組織凍結を必要とする患者さんは当然がんに罹患しており、健康状態が良い状況ではありません。
また、卵巣組織凍結という技術は確立されているものの、専門性が非常に高いことで知られています。
そのため、患者さんの身体的な負担はかけずに(The woman stays, )
卵巣組織凍結が実施可能な施設を集約し、その施設に卵巣組織を搬送する(the tissue moves.)
これにより質の高い卵巣組織凍結、そしてその後の融解移植までも実現しています。
こうした考えを前々から継承して、推進してきたのがドイツ・デンマーク・オーストリアにあるFertiPROTEKTという組織で、現時点で卵巣組織凍結件数もその後の移植件数、出産数の報告も世界最多の実績があります。
実際の症例も講演にて共有いたしました。
当院は2016年にHOPEを設立する際に、このFertiPROTEKTの指導を受けて設立いたしました。
今回、様々な演題がありましたが、当院の理事長の京野からお話をしたことは、
「搬送(Transportation)」についてでした。
日本においても卵巣組織凍結を行う施設は増えてきました。
しかし、件数をある程度行っている施設は、当院を除きすべてがん治療を自施設で行っている病院ばかりです。
がん治療の専門施設は、がん診療連携拠点病院として400を超える施設があります。
その中で、卵巣組織凍結も実施ができる施設は現実としてごく少数です。
がん治療も妊孕性温存も実現したいと考えますと、患者さんは主治医のもとから転院して、
がん診療も妊孕性温存もできる病院を探さなければいけません。
それは決して容易なことではありません。
一方で、これまで生殖医療や妊孕性温存を実施していないがん診療施設において、その施設内で卵巣組織凍結を実施できるようにするというのは、現実的ではありません。
これらを解消するためのヒントが、同様の問題を搬送ネットワークを活用して解消しているデンマークやFertiPROTEKTの活動にあります。
それらを日本でも取り入れ、日本全国地域格差のない妊孕性温存の実現に一歩でも近づけばと願っております。
カンファレンスを通じて、クリステンセン先生はじめ座長・演者の先生方との親睦を深めることもできて、大変有意義な会となりました。
これからもこうした社会貢献活動を理事長の京野を筆頭に取り組んでいきたいと思います。
京野アートクリニック高輪
生殖医療相談士 越智将航
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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