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医療コラム

コラム 2018.03.13

音楽の癒し効果について

今回のコラムは、高輪受付部の相澤が担当させていただきます。テーマは「音楽の癒し効果について」です。

クリニック内では常にBGMが流れています。
クラシックや映画音楽、オルゴール、季節の音楽など、色々なBGMが使用されています。アンケートでご要望のあったJAZZを流したりしましたが、お気付きになった方はいらっしゃいますでしょうか。

診察中はあまり感じないかもしれませんが、受付や待合ホールなどでは自然と耳に入ってくる音楽。普段の生活でも色々な音楽が流れていますが、音楽の「テンポ」は聴き手の印象に最も影響を与える要素であり、癒し効果にも大きく影響していると言われています。『ヒーリングミュージック』と言われている音楽を聴いたことのある方も多いと思いますが、それらの音楽のテンポに着目した論文がありましたので、ご紹介させていただきます。

人の安静時の心拍数は70BPM(Beats Per Minute)前後で、遅い人では60BPM~速い人では90BPMくらいの幅があると言われています。実験では、人が「癒されている」と感じるBPMは60BPM前後という結果になり、すなわち遅めの心拍数と同じくらいということになります。

これは、心拍数が聴覚を通して入ってくるテンポに合わせようとする「同調」と呼ばれる性質を持っているためと考えられています。すなわち、耳に入ってきた音楽のテンポが人の安静状態の心拍数と同じくらいのとき、人の精神テンポが音楽のテンポに「同調」することで癒しを感じるということです。

流行の邦楽のテンポは50~180BPMまで広く分布しているのに対し、『ヒーリングミュージック』と言われる音楽のテンポは、60~70BPMのものが多いそうです。よって『ヒーリングミュージック』のテンポは人の癒しの感性が反映されていると言えそうです。

別の実験では、音楽の評価を「癒し」ではなく「好み」という指標で計ったところ、心拍数の1.0倍/1.5倍/2.0倍に相当するテンポの評価が高かったとされています。すなわち、60BPM/90BPM/120BPMくらいの音楽が好まれているということになります。「癒し」で評価すると心拍数と同じくらいのテンポがよいとされていますので、これとは異なる結果と言えます。この理由としては、「癒されている」と感じるのは、聴いているときの心拍数に強く影響されているため、「同調」がより顕著に表れたからだと書かれています。

元気になりたいときはテンポの速い快活な音楽を聴くのもよいですが、ちょっと疲れたなと感じるとき、夜寝る前に聴きたいときなど、「癒されたい」という気持ちが大きいときに音楽を聴く場合は、好きな音楽の中でも、アップテンポの曲ではなく、60BPMくらい(秒針と同じくらい)の曲を選んでいただくのが「癒し」効果が高いかもしれません。音楽は、楽器の音色や音調など、テンポ以外にも色々な要素で構成されていますので、今回ご紹介した内容を指標の一つとして、ご自身の好みの「癒しの音楽」を探してみてはいかがでしょうか。

参考
ヒーリングミュージックのテンポと癒し効果
ヒーリングミュージックの音響的特徴により作成された単音による心理評価

高輪受付部 相澤


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