コラム 2018.02.27
当院では医師から指示のあった患者さんに対して、看護師が生活指導(栄養指導、体重指導とも言います)を行っています。
現在看護部で行っている生活指導では、体重減量を目指している方が主な対象です。
妊活中適正体重を守ることはとても大切で、「肥満」や「低体重(痩せ)」の状態は妊娠しにくくなることが知られています。
適正体重はBMIという数値を使って知ることができます。
BMI=体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)
妊娠に適したBMIは20~24です。
日本肥満学会では、BMIが25以上の場合を「肥満」、18.5以下の場合を「低体重」としています。1)
BMI(kg/m2) | 判定 | WHO基準 |
---|---|---|
<18.5 | 低体重 | Underweight |
18.5 ≦ ~ <25 | 普通体重 | Normal range |
25 ≦ ~ <30 | 肥満(1 度) | Pre-obese |
30 ≦ ~ <35 | 肥満(2 度) | Obese class I |
35 ≦ ~ <40 | 肥満(3 度) | Obese class II |
40≦ | 肥満(4 度) | Obese class III |
※日本肥満学会より抜粋
ではなぜ体重管理は重要なのでしょうか?
女性の不妊原因の12%は肥満または低体重という体重に起因するものであることが知られています。 体重が重すぎても、軽すぎても、排卵が障害される事で生理周期は不規則になるからです。2)
肥満の場合は身体の中で過剰にエストロゲンが産生され、排卵が起こりにくくなります。
低体重の場合は十分量のエストロゲン産生が脂肪細胞から得られず、生理周期は不規則になり、排卵障害、ひいては早発閉経になる可能性もあります。
そのほか、肥満については妊娠中も、妊娠高血圧症候群のリスクが上昇することや、血栓症のリスクが増大するなどの報告がされています。
肥満は妊娠できる可能性を下げ、妊娠後のリスクを増加させることにつながってしまうのです。
やせについても日本人を含むアジア人種では、不妊原因と密接にかかわっていて、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の一因であることなども知られています。
これらのことから健康的な体重を維持することが大切です。
もちろん「3食バランスよく食べられて、お通じも毎日あって、定期的に運動ができて、睡眠や休息もばっちり」 といけば何にも問題ないのですが、言うは易く行うは難しで、日々忙しく、治療にも時間を割いている中で生活を変えるというのは本当に大変な事です。
私たちが行っている生活指導では、まず治療内容に対して体重をどこまで落としたいか医師にも確認した上で患者さんと一緒に具体的な目標を定めます。その後具体的なプランを立てるために生活状況の把握をします。食事表と体重表を記入してきてもらうことと、一緒に一日の過ごし方を書き出していくのがこれに当たります。
日々の生活を見える化したら、どの部分を改善したらよいか、具体的で継続可能なものをいくつか挙げ(起床時と就寝前に体重をつける、通勤中階段を使う、お昼の菓子パンを玄米のおにぎりにするetc.)、次の来院日まで実施してもらいます。
その後、実施状況や体重の変化を確認し必要があればプランを変更していきます。
全体を通して、なるべく看護師からの押し付けにならず、また、体重を減量する事だけではなくより家族で健康になることを目標に患者さんと一緒に考えて取り組む事を心がけています。
なにか生活の事で相談したいことがあったら、気軽に看護師に声をかけて下さい。 こちらのコラムでは今後、看護部から妊活中の生活について情報提供していければと思っています。 次回は妊活に適した食材の選び方です!お楽しみに!
参考文献
高輪看護部 兵藤英美子
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
7:30〜16:30 (最終予約 15:00) |
AM のみ |
03-6408-4124
お電話 受付時間 |
|
---|