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医療コラム

コラム 2024.08.06

保険診療で正しい男性不妊治療を 無精子症のはなし③ 無精子症と言われた時の病院の選び方 その1

不妊治療の保険診療が始まって、2年が経ちました

このコラムの中で、「保険診療で正しい男性不妊治療を」として泌尿器科のはなしを書き始めたのがちょうど2年前でした。その時に2番目に書いた話が無精子症のはなしでした。
今回は久しぶりに無精子症のはなし、特に病院の選び方について書いていこうと思います。

無精子症と言われた時、医師から言われることは?

東京都は東京プレコンセプションケアを始めましたし、他の地方自治体でも不妊の検査に補助金が付くところも増えてきました。そのため精液検査をする裾野は増えてきているように感じます。
そういった検査を受けた時に、男性が結果を渡されるときの医師のコメントは凡そ3つのパターンになります。
①「正常です。問題ありません。」
②「精子はありますが、所見が悪いです(少ない・動きが悪いなど)。妊娠しにくいかもしれません。不妊治療をお勧めします。」
③「精子がありません。専門の病院で治療をお勧めします。」
①は今回は置いておきます。②の場合は不妊クリニックならAIHやIVFなどを勧められるかもしれませんし、男性不妊があるクリニックなら男性の検査を深掘りし、精索静脈瘤など見つかるかもしれません。
問題は③です。
では一体、「専門の病院」とは何なのでしょう。

無精子症の専門の病院とは

無精子症の治療はいくつかのセクションに分かれます。まずはTESE(精巣内精子回収術)で精巣組織を泌尿器科医が採取します。その後、培養士(卵子や精子を専門に扱う技師)が培養室(卵子や精子を扱えるように設備を置いたり、環境調整した専用の部屋)でその組織から精子を検索します。精子が見つかれば凍結保存し、採卵の際に精巣組織を融解して精子を探し、ICSIを行います。この一連の治療に対応できるのが専門の病院です。

無精子症の治療のスタイルの違い

泌尿器科単科のクリニックででTESEをする場合と婦人科と泌尿器科を共に診療するクリニックでTESEをする場合では治療の流れが変わります。
Micro TESEが出来るクリニックではSimple TESEは施行可能ですので、今回のはなしはMicro TESEが出来るクリニックをイメージして書きます。
ではそのパターンをしめします。

A. 不妊症に対応している独立した泌尿器科のクリニック。Micro TESEを行う設備はあるが、婦人科の治療は行わなず、培養室はないか簡易的なもの。連携する婦人科の不妊治療クリニックは決まっておらず、TESEすることが決まったら、患者自身が受け入れてくれる婦人科を探しに行くケースもある。
TESEは泌尿器科のクリニックで行う。精子の検索は受け入れる婦人科に移送して行う場合は、組織を凍結せずに急いで搬送する。泌尿器科クリニックで検索する場合、精子がいれば凍結し、その後移送する。

B. 不妊症に対応している泌尿器科のクリニックで、近隣などに決まった連携する婦人科の不妊治療クリニックがある。培養士は常勤はいないが、TESEを行う時は婦人科クリニックから培養士が派遣されて精子検索や凍結処理を行うケースが多い。培養室は無いか簡易的なもの。精子が見つかれば婦人科に移送して、ICSIを行う。

C. 不妊専門のクリニックで婦人科は顕微授精、泌尿器科はMicro TESEが可能な十分な設備とスタッフを持つ。泌尿器科は常勤の場合と非常勤の場合がある。TESE、精子検索、凍結保存、ICSIまで一つのクリニックで行える。

当院は”C”のクリニックに該当し、常勤の泌尿器科医がTESEを担当します。組織搬送やスタッフのやり取りなどは必要なく治療が完結出来ます。

無精子症に関わるスタッフたち

今あげたように無精子症の治療では多種多様なスタッフがかかわります。医療的な部分では産婦人科医・泌尿器科医・看護師、精子の処理やICSIでは培養士、医療費の限度額の相談や補助金などについては受付・事務スタッフなど、その他、遺伝カウンセラー、心理カウンセラーなども関わる場合もあります。つまりクリニック全てのリソースを使って治療の道筋を立てていきます。そのため各部門での連携や、情報の共有が重要になってきます。
仮に自分がTESEを受けるとするなら、手前味噌ではありませんが、経済的な面・医療的な面・手間やリスクなどをどう考慮しても、一つの病院で完結できるところを選びます。
その理由を次回まとめていこうと思います。

泌尿器科 医師 田井俊宏


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