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医療コラム

論文紹介 2024.10.09

論文紹介「子宮鏡検査にて慢性子宮内膜炎を疑う症例に対する子宮内細菌叢検査の有効性について」

当院では先進医療Aに登録されている子宮内フローラ検査の多施設合同の臨床研究を実施しています。

この度、高輪院の研究支援部の竹重を中心としたメンバーが執筆した論文が日本受精着床学会に採択されましたので紹介させていただきます。

論文の紹介に入る前に、この研究の背景を少し紹介させていただきます。

子宮内フローラ検査は、簡単に言えば、子宮内にある細菌叢を調べることによって、子宮内に異常がないかどうかを調べる検査です。

子宮内膜関連の治療について

子宮内の細菌のバランスを調べることによって、妊娠に適した環境であるのかどうかを調べます。

 

また、近年着床を妨げる病状の一つとして、慢性子宮内膜炎が数多く報告されています。

慢性子宮内膜炎を治療することにより、着床率が大幅に改善する報告も同様にされていますが、諸外国の状況と比べるといくつかの問題が考えられます。

一つは、日本では慢性子宮内膜炎の診断基準が明確でないことです。

通常子宮鏡検査やCD138免疫染色検査というものが診断をつけますが、その基準が一定ではありません。

また、慢性子宮内膜炎には細菌性と非細菌性という分類があり、これらを診断することは上述の子宮鏡検査やCD138免疫染色検査では診断することができません。

慢性子宮内膜炎の種別に合わせて、適切な加療をしていく必要があります。

そこで注目されている検査が子宮内フローラ検査です。

 

【概要】

2022年4月から2023年12月の期間に子宮内細菌叢検査を実施し,凍結融解胚盤胞移植を実施した症例のうち,子宮鏡検査にてCEが疑われる42歳以下の症例(124例)を対象とした.

Lactobacillus属の割合が90%以上の群(LDM群)のうち加療を実施していないグループ(LDM-nt群)と,90%未満の群(NLDM群)のうち加療を実施したグループ(NLDM-t群)を比較したところ,妊娠率,妊娠継続率のオッズ比は1.762,1.810となり, 比較的高い数値ではあるものの統計学的有意差は見られなかった.また,NLDM-t群とNLDM-nt群を比較すると,妊娠率は62.5%,18.2%となり,NLDM-t群において有意に妊娠率が高かった.

今回の報告から,CEが疑われるNLDM群の菌構成を把握し,加療を行う事で良好な妊娠成績を示しており,子宮内細菌叢検査は加療が必要な細菌性CEを診断する一助になると考えられる.

※ここまで※

これからも様々な研究をし、1%でも妊娠率を高められるように、スタッフ一同努力いたします。

論文の詳細をお聞きになりたい方は医師やスタッフまでお尋ねください。

 

 


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