コラム 2024.11.26
以前から様々なダイエットが流行っては消えていっています。
日本でダイエットが流行したのは1960年代、ツイッギーとミニスカが世の中を席巻したころと言われています。そのころからカロリーという言葉が世の中に知られ、一般的なものになってきました。その後、1980年代頃には極端なダイエットによる摂食障害が社会問題にもなりました。2000年代にはビリーズブートキャンプの様なハードなトレーニングも流行し、最近はボディビルの流行などから、糖質制限・脂質制限や更に強力なケトジェニック等の食事によるものも広がっています。
ダイエットは体に蓄えられている脂肪を消費していく行為です。
「1日の消費カロリー=基礎代謝+消費エネルギー」となります。消費カロリーを増やしていくことが脂肪の消費につながります。
基礎代謝は消費カロリーに占める割合が大きく、そのうち40%程度は筋肉によるものとされています。そのため比較的変化を起こせる筋肉を増やすことは減量につながる一つの方法です。筋肉を増やすために日常的に運動を取り入れることは重要ですが、運動による消費エネルギーを増やすのはなかなか難しく、一般的に減量には食事のコントロールが重要になります。
「消費カロリー>摂取カロリー」となれば一般的には体重は減っていきます。その際に脂肪からのみ消費されていけばいいのですが、糖分や肝臓のグリコーゲン、筋肉なども一緒に消費されて減っていきます。特に筋肉が減ってしまうのは問題で、基礎代謝が落ちてしまいます。そのためダイエット中は筋肉を落とさないように筋トレやたんぱく質を多めにとることが推奨されます。
56人の男性に対し、8週間の低カロリー食(800kcal/day)ののちに、通常食で52週間経過を見た研究があります。8週間の低カロリー食で平均16.5㎏体重が落ち、精子濃度が1.49倍、総精子数が1.41倍になったとしています。
また、食事を戻したのちに体重が元に戻ってしまった人は精液所見が悪化したものの、体重を維持できた人は精液所見も維持できたとしています。1)
しかしながらこの研究の対象はBMIが32から43kg/㎡とアジア人ではまれなレベルの肥満でした。例えば180㎝100㎏でもBMIは30程度です。
しかし、その他の多くの論文でも肥満状態の患者さんの減量は精子を改善するとしています。
肥満傾向の人に対しては減量し、体重を維持する事は精液所見を改善させるいい方法だと考えられます。
今回の論文は非常に急激にカロリー制限をしています。
しかし対象患者が強い肥満であり、精液所見以上に生命維持のために痩せることが求められる状態でした。そのため極端な制限をかけていますが、通常あまり望ましいとは思えません。健康的に体重を減らせるなら、それに越したことはありません。また、痩せた状態を維持できることの重要性も示されています。
少し痩せた方がいいかなと思っている妊活中の方は、軽いカロリー制限と、出来る範囲での軽い運動から始めていくのがいいかと思います。
1) Emil Andersen, Christian R Juhl, Emma T Kjøller, Julie R Lundgren, Charlotte Janus, Yasmin Dehestani, Marte Saupstad, Lars R Ingerslev, Olivia M Duun, Simon B K Jensen, Jens J Holst, Bente M Stallknecht, Sten Madsbad, Signe S Torekov, Romain Barrès, Sperm count is increased by diet-induced weight loss and maintained by exercise or GLP-1 analogue treatment: a randomized controlled trial, Human Reproduction, Volume 37, Issue 7, July 2022, Pages 1414–1422,
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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