学会報告 2024.11.26
当院の培養室では、2024年5月よりOPEN AI社のLLMであるChat GPTを導入いたしました。ユーザー数の100万人を5日間で達成したことで話題となり、現在もニュースやネット記事も散見されます。実際に使用された方も多くいるのではないでしょうか。2024年2月には全世界で1億人を超えるアクティブユーザーがいるとされています。(/週)
実際に使用してみると、その計算能力に驚かされます。
不妊治療 × AI については学術論文も増えており親和性は高いと感じています。
その一端としてChat GPTの紹介や業務改善を導入していっております。
また、今年7月にあった受精着床学会で発表させていただき、世界体外受精記念賞候補に選定いただきました。
さらに、11月には胚のAIスコアシステムであるiDAScoreと別の機械学習を使用した統計手法により、臨床的な胚選択に繋がるだろうという発表をさせていただきました。
こちらについては既に当院の評価システムの一端として培養室の管理システムに導入しております。
ChatGPTについての紹介
ChatGPTは、OpenAIが開発した高度な人工知能(AI)技術を用いた対話型モデルです。自然言語処理(NLP)の分野において最先端の技術を駆使し、人間の言語を解析して、自然な形で応答することができます。この技術は、膨大な量のデータを学習することによって、人間の言語の微妙なニュアンスや文脈を理解する能力を持っています。
ChatGPTを活用することによって、患者さんと向き合える時間が増えたこと。増えていくこと。
培養室の業務は卵子や精子と向き合うだけでなく、適切な医療を提供するためにデータ整理や記録業務も多くあり、卵子・精子・受精卵と向き合う時間が限られています。しかし、ChatGPTを活用することにより、日常業務の一部をAIに任せることが可能となりました。言語における対話に限らず、計算も得意です。
当院では毎週の症例検討、2週間ごと、毎月、半年ごとに成績を算出しており、培養士個人の顕微授精の結果などの振り返りも実施しております。データを出すという業務だけでも累計すると数時間から数十時間に上ります。これらの業務についてAI利用することで多くの時間を削減可能です。
出力されたデータの正確性やデータ自体の思考・考察することは培養士が実施し、その他の多くのルーチンワークをアシスタントしてもらうことで、より専門的な診断や治療に集中することができます。いかにAIに仕事を委託するか?が重要と思います。
図 1 医療DX (作: Chat GPT)
医療情報は非常にデリケートであり、プライバシー保護が最優先事項です。ChatGPTを医療分野で利用するにあたり、セキュリティリスクへの対応は最も重要な課題の一つになります。データの取り扱いに関して患者の個人情報が漏洩することがないようにしております。
などにより患者のプライバシーが厳重に保護されています。このような取り組みにより、医療現場でのAIの利用に対する信頼性を高め、安心して活用できる環境で使用しております。
AIと機械学習を組み合わせて胚盤胞到達予測をより高い精度で実施するなど利用を増やしております。今後は、もっと多くのデータ解析を実施したデータ解析を導入しております。(2024年11月 生殖医学会、発表)
このように、ChatGPTは単なる情報提供ツールにとどまらず、医療従事者と患者の間に新たな信頼関係を築き、医療サービスの質を高めるための重要なパートナーとなっていくのではないでしょうか。
最後に
全てが機械によるものでなく人と人との関係性を大事にしていくこと
そして、その時間を捻出するための強力なアシスタントツールであると感じております。
結論として、ChatGPTは医療分野においても、患者と医療従事者の新たな関係を築くことが可能であると考えております。今後もこの技術を活用することで、さらに多くの患者がより質の高い医療サービスを当院に提供して参ります。
培養室 奥山
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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