学会報告 2024.11.26
2024年11月15日~17日に東京のJPタワーホール&カンファレンスにて、第8回国際妊孕性温存学会に参加してまいりました。日本で初開催となる国際妊孕性温存学会学術集会です。人工卵巣、精巣組織凍結などの最新進展以外、ターナー症妊孕性温存の見解、ガラス化卵巣組織凍結・融解、発展途上国の妊孕性温存現状など、国内外600人以上が参加しました。
私は、当院にて妊孕性温存のため、卵巣組織凍結を受けたターナー症候群女児(45,X)の症例報告をポスター発表させていただきました。ターナー症候群の女性は、正常な性染色体を1本持ち、第2本の性染色体の一部または全部が欠如しています。ターナー症の染色体異常は、卵巣予備能の加速的低下と生殖寿命の短縮に関連しています。45,X女性は索状性腺を持ち、無月経が多いのでほとんどは成人前に不妊症に直面しています。卵巣組織凍結保存は思春期がまだ進行していない患者における妊孕性温存の唯一の治療法です。国際的なガイドラインでは、ターナー症候群女児の卵巣予備能は年齢とともに急速に減少するため、若いうちから妊孕性温存を考慮すべきであると勧告しています。
トランスポートシステムを利用して、遠隔の病院にて片側卵巣を摘出し、当院(京野アートクリニック品川)へ搬送いたしました。車と新幹線を利用し、保冷パックと搬送箱を用いて最適温度下で搬送は約3.5時間かかりました。当院にて世界標準の緩慢凍結法で卵巣組織を凍結しました。Viability Testにて生存卵胞が確認できました。
今まで、日本では遺伝性疾患と染色体疾患を持つ小児に対して、妊孕性温存の対象に含まれていませんが、オランダなどいくつかの国で日常的に提供されています。我々の知る限り、これは日本で実施した初の45,Xの卵巣組織凍結です。片側卵巣摘出術を受けた一般女性において、思春期の発育と妊孕性に影響を与えないことが知られ、ターナー症女児は思春期発育に及ぼす影響は不明だが、卵巣予備能の指標となるAMH値は安定に維持できることが報告されており、卵巣組織凍結はターナー症女児に対して生殖能力を維持する有効な手段である可能性が示唆されました。
自家卵子を使用した45,Xターナー症女性の妊娠率は約4%であることが報告されていたが、凍結融解卵巣組織を使用したターナー症女児の妊娠例はまだ報告されておらず、まだ実験的な治療段階です。この研究は、日本で遺伝性疾患や染色体疾患を持つ小児に対して、早期診断と思春期前の妊孕性温存オプションに対する需要が高まっていることが示しました。
参考文献:
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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