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医療コラム

論文紹介 2025.02.28

iDAScore ver.2のスコアが、目視による形態評価と相関しているのか

当院では、患者様からお預かりしている卵子・受精卵は全てタイムラプスインキュベーターで培養を行っております。このタイムラプスインキュベーターではiDAScoreというスコアを受精卵1つずつに付けることができます。

このiDAScoreとは、妊娠しやすい胚を自動判別してスコアリングするシステムです。つけられた数字が大きいほど妊娠率が高い胚とされています。

今回紹介する論文は、初期胚の評価についてiDAScore ver.2のスコアが、目視による形態評価と相関しているのか調べた論文になっています。

 

Correlations between a deep learning-based algorithm for embryo evaluation with

cleavage-stage cell numbers and fragmentation

 

最初に細胞数でスコアの比較を行っています。

表は培養2日目胚の細胞数によって分けた群と各群のスコアです。値は中央値となっています。細胞数が多くなるとスコアが高くなる傾向が見られ、特に3cell以下の群と比べると他の2群は有意に値が高くなっていました。

≦3cells 4-6cells ≧7cells
スコア 2.4 4.0 3.7

(Figure1 一部改変)

Day3胚でも同様に、細胞数の増加でスコアが有意に高くなっていました。

 

次にフラグメントの割合と比較した結果となっています。

フラグメントが少ないほどスコアが有意に高くなっていました。

0-10% 11-20% 21-50% >50%
D2 4.7 3.9 2.6 2.1
D3 5.6 3.8 2.6 2.3

(Figure1,2 一部改変)

細胞数のグラフと同様にフラグメントについても同様です。

 

さらに生児獲得に関して、新鮮初期胚で単一胚移植を行った患者で比較を行っています。

値はスコアの中央値です。

生児獲得+ 生児獲得-
D2 4.8 4.2
D3 5.8 5.0

(Figure3 一部改変)

生児獲得まで至った胚はスコアが有意に高い傾向が見られました。

 

出生まで至る胚をどれだけ正確に予測できているか比較も行っています。

下記に示している値 (AUC) が1に近いほど、生児を得られる胚を識別する性能が高いことを示しています。

iDAScore 形態的評価
D2 0.63 0.61
D3 0.62 0.59

(Figure3 一部改変)

 

まとめますと、iDASCore ver.2による初期胚の評価は細胞数・フラグメントの割合と相関関係にあり、また生児獲得につながる胚の選別能力がある程度あることが分かりました。

 

当院を含め京野アートクリニック3院ではiDAScoreを導入しています。

胚培養士の目視での評価に加え、これらの技術も使用し日々の業務に役立てております。

これ以外にも、当院では多くの技術を導入しておりますので、興味のある方はぜひスタッフにお声がけください。


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