学会報告 2025.02.28
2024年10月12日に福島で開催された東北生殖医学会に参加させていただきました。
そこで発表しました「AIHの累積妊娠率と卵巣刺激の有無による妊娠率の検討」について紹介させていただきます。
日本産科婦人科学会ではAIH(人工授精)を3~4周期行っても妊娠しない場合、高度生殖医療へのステップアップが望ましいと提示しています。当院でもAIHを行っている患者さまに、3~5回を目安にステップアップのご提案をさせていただいております。
2022年から不妊治療の保険適用が開始となり、全国的にAIHの件数は増加しております。盛岡院の件数も以下に示すように年々増加傾向にあります。
そこで今回改めてAIHの累積妊娠率と卵巣刺激の違いによる妊娠率の比較を行うことで、今後の患者さまへのステップアップへの最適回数や適切な卵巣刺激のご提案ができればと考えました。
※累積妊娠率とは…
回数を重ねるごとに妊娠した人数を合計して算出した妊娠率のことです。
例えば100人のうち1回目のAIHで妊娠した人が5人、2回目のAIHで妊娠した人が
5人いたとしますと、1回目の累積妊娠率は5%(5/100)、2回目の累積妊娠率は10%
((5+5)/100)というように算出します。
年齢を34歳以下、35-39歳、40歳以上にわけて算出しました。
どの年齢でもAIH4-5回目までは回数を重ねるごとに累積妊娠率の上昇が見られますが、6回目以降ではその上昇は緩やかになっています。
この結果は日本産科婦人科学会が提示しているものと同様の傾向であり、AIH4-5回でのステップアップが望ましいと言えます。
次に卵巣刺激別の妊娠率を以下に示します。
盛岡院の年齢別累積妊娠率を以下のグラフに示します。
卵巣刺激を自然周期、クロミフェンによる刺激、レトロゾールによる刺激、その他の卵巣刺激にわけて妊娠率を比較しました。
レトロゾール刺激によるAIHは自然周期やその他の卵巣刺激によるAIHに比べ、妊娠率が有意に高くなりました。レトロゾール刺激では生理周期が改善されたことによって妊娠率が上昇した可能性や、レトロゾールが子宮内膜を妊娠しやすい状態にした可能性が考えられますが、まだレトロゾール刺激によるのAIH施行件数は少ないため、今後も検討が必要です。
今後も検討を継続し、患者さまによりよい治療方針をご提案していければと思います。
盛岡培養部
藤井
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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