論文紹介 2025.03.13
日本では、2013年にガイドラインが提示されて以降、各クリニックで卵子凍結が行われてきました。アメリカでも2016年にかけ880%増加し、成人女性の約25%が希望しているという報告もあります。
今回紹介する論文は、アメリカで2児を得るための計画として、若いうちに卵子凍結を行い、その凍結卵子を用いて体外受精(IVF)を行う方法と、高齢でのIVF、着床前遺伝子検査(PGT-A)でかかる費用を比較し、卵子凍結の有用性と費用対効果について分析しています。
A SART data cost-effectiveness analysis of planned oocyte cryopreservation versus in vitro fertilization with pre-implantation genetic testing for aneuploidy considering ideal family size
(理想的な家族構成を考慮した、計画的卵子凍結保存と着床前遺伝子検査を含む体外受精のSARTデータの費用対効果分析)
この研究では、アメリカのARTクリニックの82%が登録されている「SARTクリニック成果報告システム」のデータを使用しました。
モデルケースは、40代で1児を得る計画と2児を得る計画です。
計画1-a…33歳で卵子凍結を行わず、43歳で治療を開始。
IVF/PGT、FETともに最大3周期行う。
計画1-b…33歳で1周期の卵子凍結を行い、43歳で卵子融解および新鮮胚移植を行う。
児が得られなかった場合は追加で最大2周期のFETを行う。
計画2-a…33歳で卵子凍結を行わず、40歳で最大3周期、IVF/PGTとFETを行う。
貯卵は行わず、 43歳で再度IVF/PGTを最大2周期、FETを最大3周期行う。計画2-b…33歳で卵子凍結を行わず、40歳で最大3周期のIVF/PGT、FETを行う。
貯卵を行い、この胚を用いて43歳で最大6周期のFET を行う。
計画2-c… 33歳で1周期の卵子凍結を行う。 40歳で最大3周期IVF/PGTとFETを行う。 43歳で、卵子を融かし新鮮胚移植を行ったのち最大2周期FETを行う。
計画2-d…33歳で2周期卵子凍結を行う。40歳で1周期分の卵子を融かし新鮮胚移植及び最大5周期の FETを行う。43歳でもう1周期分の卵子を融解し新鮮胚移植を行い、さらに 余剰胚で最大2周期FETを行う。
これらの調査から以下のことが分かりました。
・卵子凍結を行うことで、50%から73% と1児を得る可能性が高くなった。
・卵子凍結を行うことで、1 人あたり平均 31,975 ドル(約400万円)、最大コスト 46,544 ドル(約600万円)低下した。
・卵子凍結を行うことで、児を得る可能性が 1 %増加するごとに 1,376 ドルずつ費用を抑えることが出来た。
・2周期卵子凍結を行った計画では、
この結果は、卵子凍結の費用対効果を裏付けるとともに、子供の人数を考え、卵子凍結を実施する年齢を決める際の指針となる可能性があります。しかし、日本よりもアメリカは医療費が高額であるため、この論文の金額については参考程度にお考え下さい。(文章中の日本円は論文が発表された2022年のドル円相場を参考に1ドル130円で計算しました。)
当院でも社会的卵子凍結を行っております。卵子凍結をお考えの方は、お気軽にご相談くださいませ。
また、当院理事長である京野廣一の著書「卵子の凍結保存 妊活法」が7/29に発売されました。
https://www.amazon.co.jp/dp/4861136997/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_dSN-EbWBSKY5B
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