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医療コラム

論文紹介 2025.03.28

【論文紹介】胚移植は1個?2個? 単一胚移植と二個胚移植の成績の検討

このコラムでは、移植胚の個数についてお話しいたします。

今から約20年前は移植胚数に制限がなく、生殖補助医療(ART)による多胎妊娠が増加していました。そこで、2008年に日本産科婦人科学会が「生殖補助医療における多胎妊娠防止に関する見解」を発表しました。

『生殖補助医療において、移植する胚は原則として単一とする。ただし、35歳以上の女性、または2回以上続けて妊娠不成立であった女性などについては、2胚移植を許容する』

日本産科婦人科学会HP参照

 

この発表から単一胚移植が推奨されるようになると、多胎妊娠は大幅に減少しました。しかし、二個胚移植は多胎妊娠や周産期のリスクが高まりますが、生児を得る可能性を高めるため、依然として治療の選択肢の一つです。

 

今回、単一胚移植を繰り返し行った場合と二個胚移植について検討した、中国の論文を紹介いたします。

One fresh cleavage-stage single embryo transfer (SET) plus one frozen-thawed blastocyst-stage SET or one fresh cleavage-stage double embryo transfer_ A retrospective matched cohort study

Zheng Wang .,et al  Human Reproduction, 2024

 

これまでは、採卵周期で分割期胚を二個新鮮胚移植した群と、同じ採卵周期で得られた分割期胚の一つを新鮮胚移植するも妊娠不成立の後もう一つの分割期胚を凍結融解胚移植した群(反復単一胚移植)を比較した、同じ発育段階の胚について比較した研究はありました。しかし、分割期胚を二個新鮮胚移植した群と、反復単一胚移植で胚盤胞を凍結融解胚移植した群で比較した研究はなく、この論文で比較検討を行いました。

この研究では、2011年1月から2019年12月にART治療を行い、2021年12月まで追跡調査を行った症例のうち、採卵周期で一つの分割期胚を新鮮胚移植し、残りの胚は胚盤胞に到達した胚を凍結保存した症例を対象にしています。新鮮胚移植後に妊娠が不成立だった場合、次の周期で凍結していた胚盤胞を一つ融解し凍結融解胚移植する反復単一胚移植(反復SET)と、採卵周期で分割期胚を二個新鮮胚移植(DET)した二つの方法について比較検討しました。

臨床結果は以下の通りでした。

 

 

  反復SET(n=976) DET(n=976)
1回目の移植 32.6%(318/976) 42.0%(410/976)
2回目の移植 40.1%(251/626) 施行なし
累積臨床妊娠率 55.5%(542/976)a 42.0%(410/976)a

 

  反復SET(n=976) DET(n=976)
1回目の移植 25.9%(253/976) 34.5%(337/976)
2回目の移植 29.9%(187/626) 施行なし
累積生児出生率 44.8%(437/976)b 34.5%(337/976)b

 

  反復SET(n=976) DET(n=976)
多胎率(双胎) 0.9%(4/437)c 30.1%(104/337)c

(Table 3 改変、同記号間で有意差あり)

 

反復SET群は臨床妊娠率と累積生児出生率がDET群より有意に高い結果となりました。また、DET群では、多胎率は30.1%と反復SET群の約30倍となっていました。

結論として、利用可能胚が、新鮮胚移植の他に凍結保存可能な胚盤胞が二個以上得られた38歳未満の女性の場合、反復SETはDETと比較して、累積⽣児出⽣率が上昇し、多胎率は大幅に低下したとまとめておりました。

これまで、移植胚の個数について様々な論文が発表されていますが、2024年にヨーロッパ生殖医学医学会が発表した最新のガイドラインでは、移植胚の個数について『38歳以上の女性は選択的SETを受けることを推奨』と述べられています。

諸外国と比べ、日本では過剰に凍結胚移植が多いことも指摘をされており、新鮮胚移植の再評価も必要です。

当院でも、採卵で複数個の利用可能胚が得られた場合、新鮮胚移植を行い、その他の胚は分割期胚または胚盤胞まで培養継続・凍結し、別の周期に凍結融解胚移植を行うことが可能です。ただし、排卵誘発法や子宮の状態によっては、新鮮胚移植をせずに得られた胚を凍結保存し、別の周期に凍結融解胚移植をする全胚凍結を医師が判断しております。

また、二個胚移植に関しては女性年齢や既往手術歴など、患者背景を考慮する必要がありますが、状況によっては妊娠率を高める選択肢となることも多くありますので、ご希望の際は医師にご相談ください。

当院での治療後に安心して妊娠生活、出産を迎えられるよう、今後も皆様にとってより安全な治療を提供できるように努めてまいります。

 

仙台培養部 後藤


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