コラム
2025.05.08
5月7日 ARTセミナーを開催しました
こんにちは、生殖医療相談士の越智です。
先日、5月7日にARTセミナー「妊娠への大きな一歩:人工授精から体外受精、知っておきたいこと」を開催いたしました。
GW明けにもかかわらず、多くの方々にご参加いただき、多くの質問をいただきました。
ご参加いただいた皆様に御礼申し上げます!
今回はその質問と回答の一部を以下に紹介させていただければと思います。
不妊治療中の方は様々な不安やわからないことが多く、ついつい検索魔になってしまうことも多いですよね。
他の方の質問とその回答が参考になれば幸いです。
Q1.夜勤もしている看護師です。仕事との両立で体外受精に進むべきか悩んでいます。
A.仕事との両立はとても難しいテーマです。当院では、朝妊活や日曜診療など、可能な限り通院の選択肢をライフスタイルに合わせて選んでいただけるようにしています。
体外受精をはじめとした治療は、お身体というよりも、卵子の発育によって決まる部分が多く、必ずしも希望通りのスケジュールにはなりませんが、ご自身の勤務表などをお持ちいただいて、希望日程をお伝えいただければ、一緒にスケジュールを立てていくことも可能だと思います。
Q2.体外受精では毎日注射や薬を飲み必要があると聞くけれど、具体的にはどのような内容?
A.具体的には卵巣刺激をするためのお薬がメインとなり、その中には飲み薬や注射薬があります。
注射は基本的に自己注射となるので、毎日通院が必要になることはありません。
当院では98%の方が、自己注射で対応いただくことができております。看護師の指導が良いということもあると思いますが、ご負担の少ないペンタイプの薬剤を選ぶなど、可能な範囲で調整をして、通院負担も下げながら実施しているというのが実際のところです。
Q3.卵子凍結を進めるべきか悩んでいる。凍結卵子は胚盤胞まで育ちにくい?
A.もちろん、新鮮な卵子に比べれば、凍結卵子の方が融解した時の生存率などもあって、成績はやや低下する傾向にあります。
ただ、それ以上に影響が大きいのは女性の年齢による卵子の質の低下です。
例えば、35歳で卵子凍結をして得られた凍結卵子と42歳で新鮮に得られた卵子では、圧倒的に35歳のら凍結卵子の方が成績は良くなります。
特に生殖医療においては、今が一番若く、今の卵子の質が一番高い、というのが鉄則になります。
Q4.人工授精で授かる確率をあげる方法を知りたい
A.不妊原因次第ではあるけれど、男性の精液所見を改善するために精索静脈瘤があるのであれば、精索静脈瘤を除去する手術を行ったり、卵管の閉塞や狭窄が見られるということであれば、それらを解除するための卵管鏡下卵管形成術という手術をすることも考えられますし、サプリメントの摂取や漢方の活用なども上げられます。
Q5.不妊治療を行ったことで、第二子以降の妊娠に向けた影響はあるか?
A.これまでの治療の経験からはありません。どちらかといえば、一人目を体外受精などで授かる場合には、多くの場合余剰胚を凍結しています。その受精卵を使うことで、自然妊娠や第二子の治療になってから新たに採卵を行うことに比べて高い妊娠率となることも考えられます。