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医療コラム

コラム 2025.08.19

2025年度の東京プレコンセプションケアで男性の検査が広がりました。新しい検査と、病院・検査を選ぶコツ

プレコンセプションケアとは?

「プレコンセプションケア」とは、妊娠を希望する前からご夫婦の健康を整えていく取り組みです。これまで女性の検査やケアが中心でしたが、男性の健康も妊娠に大きく関わることが分かってきています。そのため、東京都では昨年から男女の検査に補助金が出るようになりました。今年度からは新しい検査が加わり、補助金が2万円から3万円に拡充されました。
東京プレコンセプションケアとして受診する場合は、受けなければならないとされる必須の検査に加え、自身が希望する検査を選んで受けられます。

開始当時から行われてきた男性の検査

男性不妊のプレコンセプションケアに含まれる検査には、次のようなものがあります。

  • 必須検査:これは男女ともに必ず受けるよう規定されています。基本的な体の異常などがないかを確認します。
    尿検査(たんぱく、糖)
    血液検査(Fe、TP、コレステロール、糖、腎機能)麻しん抗体検査

  • 精液検査:精子の数や動き、形を調べ、妊娠しやすさの目安になります。

  • ホルモン検査:精巣の機能や、精子の形成に影響があるホルモンの異常がないかを調べます。

  • 感染症検査:B型肝炎、C型肝炎、HIV、梅毒の一般的な感染症検査と、淋菌・クラミジアの性感染症検査を行えます。

新しく加わった「精巣エコー」

今年度から新しく導入されたのが精巣エコーです。精巣の中の状態や血流を画像で確認でき、特に「精索静脈瘤」という病気を調べるのに役立ちます。精索静脈瘤は男性不妊の原因として最も多く、手術で改善できる可能性もあります。ただし診断には専門的な知識と経験が必要であり、通常は泌尿器科医が検査を行います。婦人科のみの診療を行う病院では検査自体行っていないクリニックも多いのが現状です。
そのため、精巣エコーは男性不妊を専門とする医師がいる不妊治療クリニックで受けることが望ましいといえます。

精子の質を調べる「DFI検査」

もうひとつ新しく加わったのが精子DNA断片化検査(DFI)です。精子の見た目や動きは正常でも、内部のDNAが傷ついていることがあります。DNAの損傷が多いと、受精や胚の成長に影響が出ることが分かっています。DFI検査を行うことで、これまで「原因不明」とされていた不妊の背景が見えてくる可能性があり、治療の方針を立てやすくなります。こちらは精液を採取して行うため、検査を受けられる病院は精巣エコーより多くなりますが、異状が出た際の対策や、治療方針の相談は男性不妊の専門医の分野になります。
こちらも希望される方は男性不妊を行っているクリニックでお受けすることをお勧めします。

泌尿器科から見たお勧めの検査は

今回の補助金は3万円と増額されましたが、これらの検査は自費診療扱いになりますので全て受けると足が出ることが多くなります。検査を選ぶ必要が出てきますが、ここでは検査の目的と選ぶコツをお話します。

  • 男性の場合はまずは「精液検査」は必ず受けるべきです。最も基本的な検査で、不妊かどうかの最初の判断材料となります。人間ドックなどではまず調べることはありませんし、自分で調べるキットもありますが、やはり精度は十分ではありません。

  • これから人工授精や体外受精を行おうと思っている方は、いつかは感染症検査が必要になるケースが多く、基本的には自費扱いになるので「B型肝炎、C型肝炎、HIV、梅毒」の検査を受けるのもいいです。これらは医療機関によりますが、有効期間は半年から1年程度になります。

  • 精子の状態を気にされる方は、「ホルモン検査」「精巣エコー」をまずはお勧めします。若い方はこれらに多少異常があっても精液所見まで異常が出にくい方がいらっしゃいますが、2人、3人のお子さんを希望されている方は数年間にわたって精子の状態を保つ必要があります。
    精索静脈瘤や、ホルモンの異常があると、年齢と共に精液所見が落ちやすいことが予想されます。また後述しますが、DFIを悪化させる大きな原因にもなります。その場合は早めに対策することで、安定した妊娠を得る可能性が高まります。この2つの検査は後日保険で行うことも可能です。プレコンセプションケアの結果が芳しくない際にご相談いただいても大丈夫です。

  • DFI検査は比較的高価な検査であり、保険適応はされません。そのため、本来は不妊治療をすでに始めており、その結果が芳しくない方が行うことが多いものでした。
    前もってリスクをできるだけ知っておきたい。高価な検査だが、補助金が出るならやってみたい。治療方針をできるだけ多くの情報を持って相談したい方などは行ってもいいかと思います。

当院はすべての検査を行え、男性不妊専門医が結果の説明をします

妊娠は女性だけでなく、男性の健康も大きく関わります。精巣エコーやDFIといった新しい検査が加わり、男性側の状態をより詳しく知ることができるようになりました。
当院は東京プレコンセプションケアの全ての検査が行え、精巣エコー、DFIの結果説明は必ず男性不妊専門医が行います。
ご夫婦で一緒に検査を受け、将来の家族づくりに向けて、準備を行っていきましょう。


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診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)

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