コラム 2026.02.19
最近話題になりやすく、徐々に浸透してきた検査に精子の精子の DFI(DNA Fragmentation Index:精子DNA断片化)検査と、胚のPGT-A(Preimplantation generic testing for aneuploidy)があります。
これらの検査はARTでもなかなか妊娠しない場合などに行われる検査であり、検査対象になる方は、治療の結果がままならず、なぜうまくいかないのか悩んでいる方が多いと感じられます。そのため、外来でよく聞かれるのが「PGT-Aで正常な胚(euploid:正倍数体)が出ないのは何が原因なのか?」ということです。この回答を出すのは大変難しいのですが、今回はこのテーマについて男性不妊の検査の一つであるDFIからの切り口で解説したいと思います。
DFIは精子のDNAの断片化(どのくらい壊れているのか)を反映する指標です。また、PGT-Aでの 正常な胚(euploid)とは「胚盤胞の染色体数が正常」であることを示しています。
聞いただけだと、分かったような分からないような、なんだかなぁという感じですが、この検査をイメージするのに大事なのは、ちょっと難しいですが「染色体」と「DNA」と「遺伝子」の違いを知ることです。
これはいろいろ捉え方はあるのですが、僕はこの違いについて患者さんへの説明の仕方は以下のようにしています。
この3つは体を構成する情報を表している言葉ですが、見ているものが違います。染色体は「本棚」で、本(本を構成する表紙や紙、糊、インクなど)が「DNA」、書かれている内容が「遺伝子」です。
図書館の本棚をイメージしてください。いくつもの並んだ本棚に、整然と決まった位置に決まった本が入っています。染色体検査はまずこの本棚の数が合っているかを見ています。本の位置の大きな入れ替わりや抜け・ダブりなどがあるときもわかることがあります。しかし、本の場所や順番は背表紙だけ見て確認するので、その本の状態や詳しい内容までは分かりません。また小さな抜けや入れ替わりだと分からないこともあります。
DFI検査はDNAの壊れ具合の検査ですので、表紙が落ちたり、紙が破れたりなど、本自体の傷み具合を見ています。
ちなみにAZFなどの遺伝子検査では、特定の遺伝子の内容(本に書かれていること)に問題がないか、抜けがないかなどを細かく確認しています。

PGT-Aは胚盤胞に入っている染色体(本棚)の数がきちんとあるかどうかを見ています。欠けてしまったり多すぎたりしまっている本棚があれば異数性の胚(aneuploid)となり、移植には適しません。数があっていれば 正常な胚(euploid)として移植に用いられます。
ではDFIとは何でしょうか。図書館の環境が悪ければ本は傷みますし、破れたり読めないところが出てきたりします。皆さんも古い図書館などで、手に取ればぼろぼろになっていたり、ページがくっついてしまった本も見たことがあると思います。そのような本自体の傷み具合を現したのがDFIです。それぞれの本の内容や、足りない本がないかなどは確認していません。
壊れた本は読みにくく、場合によってはページがやぶれていて情報が十分でないこともあります。そうなると、DFIの高い精子は積んでいる情報の正確性に問題が起き、なかなか受精しない、受精してもうまく育たないなど問題が起こってきます。
PGT-Aは染色体(本棚)の数、DFIはDNA(本の状態)の傷み具合を見ています。この2つは体を構成する情報という部分では関係はあり得るますが、一直線には結びつかないのがポイントです。
長くなりましたので、次回はこの2つの検査の結果が関係するのかどうか、どのように両者を捉えればいいのかを説明したいと思います。
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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