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医療コラム

コラム 2026.02.21

保険診療で正しい男性不妊治療を 日常生活のはなし⑭ 季節や気温は精液所見や性機能と関係するか

寒いですね

年が明けて寒暖差がありましたが、この記事を書いている1月後半は寒波が来ており東京もひどく寒いです。僕は日光出身で、冬はとても寒かった思い出がありますが、東京住まいも長くなり年もとってきたからか、いつの間にか以前より寒さに弱くなってきたような気がします。寒さが続くと何となく疲れますし、風邪もひきやすくなります。そんな中、暑さ寒さと不妊は関係するのか調べてみました。

暑いのは精子に悪そうだけど本当かな?

精巣は体温より低い温度で精子形成が最適化され、陰嚢温が1–1.5℃上がるだけでも造精機能や形態が悪化し得ると複数文献で繰り返し示されています。そのため、サウナなど過剰に精巣を温めるのは良くないとされています。
最近夏は酷く暑いですが、では「暑い日」の影響はあるのでしょうか。熱波と精液所見の関連を扱ったアルゼンチンの論文がありました。1)
この論文では熱波を気温が32.3℃を超える日が3日以上連続した日と定義しています。精子形成期に熱波に曝露された男性は、曝露されなかった男性と比較して、総精子数、正常形態率が低下しました。つまり、暑い時期を過ごした後の精液検査はそうでない時期の精液検査より悪いということです。
これらの差は、熱波が複数回発生した年(2013年、2023年)と全く発生しなかった年(2005年、2007年、2016年)の精液サンプル間で最も顕著であり、変化率は4~5倍あったとされています。
ここで興味深いのは熱波のあと64~90日後に精液所見が悪くなるというところです。これは精子形成の早期に熱波による影響が大きいことを表しています。日本だと9-11月ごろに悪くなりそうな感じがします。

冷やすのはよさそうだけど、寒いのは?

大規模データやシステマティックな研究では、地域差・研究差はあるものの、冬〜春の方が精液所見が良い/夏〜秋で悪化しやすいという傾向が複数報告されています。2) やはり30日前、60日前の気温が関連性が高いとされています。
しかしながら、男性ホルモンであるテストステロンは冬に低め、夏〜秋に高めの報告がおおく見られます。3) 性行動や性機能の季節差を扱った研究でも、寒い季節で射精回数、勃起の評価スコア、テストステロンが低い方向が示されています。4) ただし、これらの研究は緯度の高いところでは、季節によっての日照時間が大きく違ったりすることなどから、気温だけではない季節の特色のストレスがかかわっていることも考慮しなければなりません。
また、寒い時期にEDになりやすい要因としては、ホルモンだけでなく、血管や心理要因の影響が考えられます。
寒冷は一般に末梢血管収縮するので陰茎血流に不利なことや、勃起時には副交感神経優位(リラックス状態)が必要ですが、寒いことで交感神経優位(緊張状態)になり勃起に影響が出たりします。血圧上昇・心血管負荷が増すことで、勃起が悪くなることも考えられます。

季節ごとの対策が必要

ここ数年、夏は暑く、冬は寒いことが続いています。妊活中の方は季節ごとの対策が必要です。
夏に気を付けることは、あまり長時間暑すぎる環境に身をおかず、適度にクールダウンしてください。水分摂取などを十分に行い体調管理に努めることが大切です。
冬に気を付けるのは、タイミングなどが億劫にならないように、室内環境を保ったり、射精の回数が減らないように気を付けるのが大切です。難しいようなら勃起治療薬の使用やAIHなどを検討するのがいいと思います。筋肉をつけるなどして、基礎代謝を上げて寒さに強くなるのもいいかもしれません
。冬はインフルエンザなどもはやります。発熱するのはやはりよくないので、手洗いうがいはマメに行い、感染症の予防をしましょう。予防接種も有効です。また、冬はサウナに入る男性も増えますが、精子にとっては良くないので妊活中はほどほどにすることをお勧めします。

体調を崩さないことが大事

色々書いていますと、無理をあまりせず、体調をいい状態で保つことが重要だと感じます。暑さ寒さも彼岸までとは言いますが、うまく体調を保ちつつ、病院も上手に活用して、負担の少ない妊活をされることをお勧めいたします。

1) Verón GL, et al. Science of the Total Environment. 2024.
2) Santi D, et al. Environmental Pollution. 2018.
3) Zornitzki T, et al. International Journal of Endocrinology. 2022.
4) Demir A, et al. Central European Journal of Urology. 2016.


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