論文紹介 2026.03.11
顕微授精では、培養士が顕微鏡を見ながら卵子に挿入する精子を1つ選びます。
精子を洗浄・濃縮したあと、
などを確認し、より良い精子を選んで顕微授精を行います。
この精子選びはとても重要な作業で、培養士はトレーニングを重ねて技術を習得します。しかし、
という課題もあります。
そこで最近は、AI(人工知能)を使って精子を評価する研究も行われています。
今回ご紹介するのは、AIが精子を評価した場合、その精子で顕微授精してできた胚の質に違いが出るのかを調べたスペインの研究です。
Automated AI for real-time sperm selection in ICSI: reducing variability and studying the role of sperm in embryo development
Carrión-Sisternas L et al. Reprod Biol Endocrinol (2025)
この研究では Sperm ID(SiD) というAIソフトを使用し、精子を次の4段階に分類しました。
そして、それぞれの精子を使って顕微授精を行い、受精率、胚盤胞になる割合、移植や凍結に使える胚の割合などに違いがあるかを調べました。
使用された卵子には、自己卵子、ドナー卵子の両方が含まれています。
自己卵子を使用した場合では、統計的に明確な差はありませんでしたが、
AIで評価が高かった精子(Best・Good)を使用したほうが
が高くなる傾向が見られました。
一方で、ドナー卵子を使用した場合は、
精子のランクによる影響はほとんど見られず、評価が低い精子でも良好な結果が得られていました。
この研究では、卵子もAIで評価しています。
使用されたのは MagentaIVF というシステムで、卵子が胚盤胞になりやすいかを 0〜10点でスコア化します。
研究では卵子を
の2つに分けて解析しました。
その結果、
良い精子(Best・Good)を使用したほうが、胚盤胞率や利用できる胚の割合が高くなる傾向がありました。
精子のランクによる差はほとんど見られませんでした。
この研究から、次のような可能性が示されました。
つまり、胚の発育には卵子と精子の両方の状態が関係していると考えられます。
現在、顕微授精では培養士が顕微鏡で精子を選んでいますが、AIを利用した精子評価の研究も進んでいます。
今後こうした技術が発展することで、より客観的な精子選別につながる可能性があります。
今後の研究の進展にも注目していきたいと思います。
盛岡院 培養部 藤井
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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