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医療コラム

論文紹介 2026.03.18

【論文紹介】居住地の標高による卵子発育への影響

居住している地域の標高によって、卵子の発育と卵胞液に含まれる代謝物には差があるのか調査した論文について紹介します。

 

High-altitude hypoxia exposure alters follicular metabolome and oocyte developmental potential in women

(高所低酸素環境への曝露が女性の卵胞代謝プロファイルと卵子発育可能性に及ぼす影響)

Zhengfang Xiong et al. Arch Gynecol Obstet 2024

 

食生活の変化や不健康な生活習慣といった環境要因は、生殖能力に影響を及ぼす可能性があると考えられています。

その中でも近年注目されているのが「低酸素状態」です。これまでの研究では、中程度の低酸素が卵の成長を促す可能性が示唆されている一方で、胎児の発生を妨げる可能性も報告されており、生殖に対してどのような影響をもたらすのかはまだ十分に明らかになっていません。

 

標高の高い地域では気圧や酸素濃度が低下するため、自然と低酸素環境になります。今回紹介する研究では、居住している地域の標高差による低酸素環境が、卵子の発育にどのような影響を与えるのかを調べています。

 

対象となったのは、居住地の標高に基づいて3つのグループに分類された臨床症例です。

 

・低標高群(2300m未満)

・中標高群(2300~2800m)

・高標高群(2800m超)

 

調査の結果、次のようなことが明らかになりました。

 

・採卵数、卵の成熟率、受精率にはグループ間で大きな違いは見られなかった

・高標高群では、良好胚率・胚盤胞率・利用可能胚盤胞率がそれぞれ9.29%、9.81%、12.18%低下していた

・高標高群では、卵胞液に含まれる代謝物に大きな変化がみられ、卵子の質と関連する脂肪酸やカルニチンが低下しており、有意な差が確認された

 

これらの結果から、居住する地域の標高の違いによって卵胞液の代謝成分が大きく変化し、それが卵子の発育に影響を与える要因の一つである可能性が示唆されました。

 

今後は、低酸素環境による代謝変化の仕組みをさらに詳しく解明することで、卵子の質を保つための新たな予防や治療の方法につながることが期待できるかもしれません。

 

論文URL

https://link.springer.com/article/10.1007/s00404-024-07695-9

 

京野アートクリニック盛岡

培養部 佐藤


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