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医療コラム

論文紹介 2026.03.19

【論文紹介】ワンステップ融解での胚の生存率とその後の発生・着床能力

胚の凍結・融解は、採卵周期の患者さんの負担を最小限にし、治療に柔軟性を与える技術の一つです。

凍結胚の融解は段階的に凍結保護剤を取り除き、培養し移植する方法が主流です。従来の手順では、胚は4つのステップを踏んで融解されます。しかし、ワンステップ融解は、文字通り1つの手順のみで胚の融解が完了します。

これだけ聞くと、手順が少なくなることで胚に悪影響を与えるのではないか、と不安になる方もいらっしゃると思います。

 

そこで今回は、分割期胚・胚盤胞期において、胚の融解手順を簡略化した“ワンステップ融解”は、従来の手順と比較して胚の発生能力や着床能力に差は出るのかを検討した論文を紹介します。

 

One-step warming of vitrified human cleavage and blastocyst stage embryos does not adversely impact embryo survivability and subsequent developmental potential

Shioya, Masashi, et al. Human Reproduction. 2025

参照元:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39715345/

(凍結保存されたヒトの分割期胚および胚盤胞期胚のワンステップ融解は胚の生存率やその後の発生能力に悪影響を及ぼさない)

 

従来の手順では、融解液、希釈液、洗浄液①、洗浄液②と4つのステップを得て、胚の融解を行います。しかし、ワンステップ融解では、融解液に約1分間凍結胚を投入するだけで胚が融解されるため、大幅に融解時間が短縮されます。

【従来の融解方法】

【ワンステップ融解】

 

これまでの研究では、従来の手順とワンステップ融解とを比較して

・融解後の胚の生存率にほとんど差はない

・ワンステップ融解の方が移植後の妊娠率が上がる

ということが報告されています。

 

今回紹介する論文では、分割期胚(2-16細胞の胚)と胚盤胞期胚における融解後の胚の発生や移植後の転帰について検討しました。

 

まず、融解後の分割期胚・胚盤胞期胚の発生を比較したところ、

・分割期胚において、ワンステップ融解で桑実胚形成率が高い。

・胚盤胞期胚において、ワンステップ融解で胚盤胞の収縮(Blastocyst Collapse)の頻度が少ない。

という結果が得られました。

 

次に、胚盤胞が接着するフィブロネクチンというタンパク質を使用して、胚の着床能力を検討しました。接着しないと胚は、左の写真のようにその形を保ったままで、接着すると右の写真のように栄養外胚葉が広がり、増殖します。接着した状態を着床したとみなし、2つの方法を比較したところ、接着の割合と接着面積に大きな差は認められませんでした。

(figure2から引用)

 

以上のことから、これまでの融解方法とワンステップ融解では、分割期胚・胚盤胞期胚ともに融解後の胚の生存率、発生能力、移植後の胚の着床能力や増殖能力などに大きな差は認められませんでした。

結論として、ワンステップ融解は分割期胚・胚盤胞期胚どちらにも有効かつ簡略化された安全な融解方法であることが示唆されました。

 

 

私たちは日々、患者さんに安心して治療を受けていただけるよう、最新の研究報告に目を通し、情報の収集や解析に努めております。

ご質問、ご不明な点がございましたら、お気軽にお尋ねください。

 

 

 

仙台培養部 有馬


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