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医療コラム

論文紹介 2026.04.27

卵子融解プロトコルの違いが臨床成績に与える影響

卵子融解プロトコルの違いが臨床成績に与える影響

患者さんの治療において、卵子の凍結保存はとても重要な技術であり、将来に備えたり、治療のタイミングを調整したりと、多くの場面で活用されています。

卵子融解では技術だけでなく、工程も非常に重要です。近年、この融解における工程の違いが胚の発育や妊娠率に影響する可能性が報告されてきています。受精卵においては、融解方法を簡略化し、短時間で処理することで、妊娠率の向上につながる可能性が示されています。

一方で、卵子は受精卵と比べてより繊細で、凍結や融解の影響を受けやすいとされています。そのため、卵子において融解方法の違いがどのような影響を与えるのかが注目されています。

 

今回は、従来の卵子融解方法を改良した、新しい卵子の融解方法に着目し、

その違いが治療成績にどのような影響を与えるのか検討した論文をご紹介します。

 

Improved clinical outcomes with a modified warming protocol in donor oocyte

cycles

Chun-I Lee, et al. J Ovarian Res. 2025

参照元: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40819040/

(ドナー卵子周期における、改良された融解プロトコルによる臨床転帰の改善)

 

従来の方法では、3種類の融解液(融解液・希釈液・洗浄液)を用いて、融解液2分、希釈液2分、洗浄液5分の計3ステップ、合計9分で卵子を融解していました。

それに対し、今回新しく検討された方法では、融解液2分、希釈液2分の2ステップ、合計4分で行っており、融解時間が大幅に短縮されています。

 

今回の研究では、従来の融解方法(n=8506)と新しい融解方法(n=980)で、融解後の卵子の生存率、受精率、胚盤胞の形成率、出生率にどのような影響があるのか検討しました。

 

その結果、卵子の生存率や受精率に大きな差は見られませんでした。

一方で

・良好胚盤胞形成率が上昇した。

・出生率が高くなる。

という結果が示されました。

出生率は、従来の方法が50.4%だったのに対し、新しい融解方法は66.7%と、大きな差が見られました。

 

従来の融解法 新しい融解法
生存率 93.9 % 93.7 %
受精率 79.6 % 79.5 %
胚盤胞形成発生率 77.3 % 57.5 %
出生率 66.7 % 50.4 %

 

従来の方法では、複数の工程を経るため、温度や水分バランスの変化による細胞へのダメージが生じやすく、そのたびに卵子へ負担がかかる可能性がありました。新しい融解方法は、工程の簡略化により卵子への状態がより保たれ、胚の発育や妊娠率の向上につながったと考えられます。

 

今回の研究から、新しい卵子の融解方法を用いることで、その後の発育や妊娠率を改善する可能性が示されました。

 

この研究は限られた条件で行われたものであり、現時点では臨床への応用には慎重な検討が必要とされています。当院では、このような新しい知見を取り入れながら、患者さまにとってより良い結果にながるよう取り組んでおります。

ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

 

 


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