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医療コラム

コラム 2026.06.11

統合医療の実際:当院の鍼灸とレーザー治療について

当院では以前より、西洋医学による不妊治療をベースに、お身体の本来の力を引き出す「鍼灸(しんきゅう)治療」や「漢方治療」といった統合医療を積極的に取り入れています。

今回はその中でも、特に「反復着床不全(何度も良好な胚を戻しても着床にいたらない状態)」でお悩みの方からお問い合わせやご希望が多い、【鍼灸治療】および【レーザー治療】について詳しくご紹介させていただきます。

1. 自律神経のバランスと「着床」の深い関係


「交感神経」と「副交感神経」という言葉を耳にしたことがある方は多いかと思います。 簡単に言えば、交感神経は体をアクティブにする「アクセル」副交感神経は体をリラックスさせ、回復させる「ブレーキ」の役割を担っています。

日中、私たちが仕事や活動をしている時は、いわばサバイバルモード。交感神経が優位になっています。

反対に、夜ぐっすり眠っている時などはリラックスモードになり、副交感神経が優位になります。

最近は不妊治療中の不安やストレスから、不眠に悩まされる方も少なくありません。副交感神経を優位にするために、ご自宅で腹式呼吸やぬるま湯での入浴、ヨガ、デジタルデトックス(スマホを体から離すこと)などのセルフケアを取り入れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

さて、妊娠において、さらに具体的に言えば【受精卵の着床】において、どちらの神経が優位であることが好ましいかというと、やはり「副交感神経が優位なリラックスした状態」だと一般的に考えられています。

なぜ、リラックスが必要なの?

交感神経が過剰に働き、体がサバイバルモード(緊張状態)のままだと、体内の免疫細胞が「異物を攻撃せよ!」と過剰に反応してしまうことがあります(NK細胞の活性化や、Th1細胞という免疫細胞の働きが強まるためです)。 その結果、大切な受精卵(胚)に対しても攻撃的なアプローチをとってしまい、着床を妨げてしまう可能性が指摘されているのです。

2. レーザー併用療法で、さらに深いリラックス状態へ


上述の通り、緊張状態(交感神経優位)によって免疫細胞が着床を邪魔してしまうのを防ぐため、鍼灸治療では「心身をリラックス状態(副交感神経優位)に導くこと」を大きな目的としています。

さらに、当院の統合医療における最大の特徴は、「鍼(はり)」に加えて「レーザー治療」を同時に行う『レーザー併用療法』を導入している点です。

鍼灸にレーザーを組み合わせることで、以下のような相乗効果が期待されています。

  • 鍼灸の効果をさらに高める

  • 毛細血管を広げ、血流を促しやすくする

  • 緊張(交感神経)を和らげることで、受精卵を攻撃してしまう免疫細胞(NK細胞など)の過剰な働きを抑える

  • 子宮内で受精卵を優しく守ってくれるタイプの免疫細胞(子宮NK細胞)を増やし、保護的に働かせる

このように、鍼灸にレーザーをプラスすることで、お身体をリラックスさせる効果がさらに高まることが期待されています。

【参考文献】
  1. 孫立衆, et al: 直線偏光近赤外線による星状神経節近傍照射が生理機能・免疫機能に与える影響,日温気物医誌第2003; 66巻3号

  2. Peter Parham: The Immune System Third Edition. Garland Science Publishing 2016; p.339 – 343

 

3. 子宮や卵巣のまわりの「血流」を改善する


不妊治療において、骨盤の周辺を中心に鍼灸治療を行うことで、その場所の血流(局所血流)が格段に良くなることが報告されています。

具体的には、以下のような嬉しい効果が期待できます。

  • 子宮へ向かう血管の抵抗(通りにくさ)が減り、子宮全体の血流がスムーズになる

  • 血流が良くなることで、子宮内膜の組織にしっかりと栄養が行き届き、内膜が心地よい厚さ(肥厚化)に育ちやすくなる

【参考文献】

3)Yajing Zhong, et at: Acupuncture in improving endometrial receptivity: a systematic review and meta analysis. BMC Complementary and Alternative Medicine 2019; 19:61

さらに近年の遺伝子レベルの研究(microRNA sequencing解析)では、鍼灸治療を受けた女性と、受けていない女性の子宮内膜を比較したデータが発表されました。 その結果、鍼灸を受けたグループでは、「血流を促す遺伝子」「子宮内膜の増殖を促す遺伝子」「着床を促す遺伝子」が活発に働いているパターンが確認されています。鍼灸がお身体の細胞レベルにまで良い影響を与えていることが分かり、今後の研究にもさらに期待が高まっています。

【参考文献】

4)Jie Cheng, et al: Whole Transcriptome Sequencing Reveals How Acupuncture and Moxibustion Increase Pregnancy Rate in Patients Undergoing In Vitro Freelization-Embryo Transplantation. BioMed Research International 2019; Article ID 4179617, 8 pages

4. 移植から判定日までの「お守り」としてのリラックス効果


不妊治療のステップにおいて、精神的なストレスが最も高くなるのは「胚移植をしてから、妊娠判定を迎えるまでの期間」と言われています。結果を待つ日々は、どうしても不安に心が揺れてしまうものです。

実際にこの期間中の方々を対象とした調査でも、鍼灸治療を受けられた方の方が、期間中のストレスや不安が低くなる傾向にあることが報告されています。

「通院して治療を受ける」ことそのものが緊張や負担になってしまうこともありますが、当院の鍼灸・レーザー治療の時間は、ベッドの上でゆったりとお身体を休めていただく時間でもあります。張り詰めた気持ちを緩める「心のケア」としても、非常に意義のある治療です。

【参考文献】

5)徐 大兼 日本不妊カウンセリング学会誌 Volume 21 p.38-40 2022年04月20日 移植前後の鍼灸がストレスに与える影響 6)The relationship between perceived stress, acupuncture, and pregnancy rates among IVF patients Complement Ther Clin Pract. 2010 Aug; 16(3): 154–157

終わりに

少し専門的なお話も多くなりましたが、当院における「鍼灸治療とレーザー併用治療」について紹介させていただきました。

「できることは何でもやってみたい」「移植前後の緊張を少しでも和らげたい」という方は、ぜひお気軽にスタッフ、または不妊カウンセラーまでご相談ください。皆様の大切な治療を、お身体の内側からも全力でサポートさせていただきます。


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診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)

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