コラム 2026.06.25
今年度も東京都から補助金が出て、不妊の検査ができるようになりました。
「プレコンセプションケア」とは、妊娠を希望する前からご夫婦の健康を整えていく取り組みです。この補助金は男女ともに3万円までの補助が出て、指定された検査を自分で選んで受けることができます。
昨年も記事を書いているので、検査の内容などはその記事を参考にしていただければと思います。
https://ivf-kyono.com/column/post-8450/
これはただただ一択、「精巣超音波」です。
次に選ぶならは「ホルモン検査」でしょうか。
東京プレコンは必須の採血項目があります。まずは精液検査が分からないと話が始まらないので、ほぼほぼ受けることになるでしょう。そのほか、精巣超音波、ホルモン検査、DFI、感染症検査などあり、選択制になります。
ホルモン検査や感染症は採血や尿などでできるので、どこのクリニックでもある程度対応できますが、精巣超音波は泌尿器科医自身が行うため、対応していないクリニックもあります。
精巣超音波するときは触診をしてから超音波をあてて、触った感じや超音波画像から精巣の状態を診断します。それにはある程度の熟練が必要です。せっかく受けるなら、精度の高い医師に診察してもらうべきであり、男性不妊の専門医が診察するクリニックを選ぶことをお勧めします。
もちろん当院では男性不妊の専門医が対応させていただき、その場で所見をご説明しております。
精巣超音波でわかるのは精巣のサイズ、精巣の中身や精子の通り道の状態、そして精索静脈瘤です。この精索静脈瘤があるかないかが今後の妊娠計画にかかわってきます。
精液所見が一見異常なくても精索静脈瘤を持つ人もいます。精索静脈瘤は一般男性の15%にあり、半数が妊娠する力に問題があるとされています。また、原発性不妊症(1人目ができない)の男性の35%、続発性不妊症(2人目不妊)の男性の最大80%に存在すると報告されています。1.2.3)
これらの不妊の患者さんは精液所見が悪い人ばかりでなく、正常でも精索静脈瘤によって精子にダメージがあり、機能が落ちていることで妊娠しにくくなっている方もいます。
精索静脈瘤があるとどうなるのかといえば、一言でいえば「精巣の老化が早くなる」というイメージが最もしっくりきます。そのため、一人目はできても、二人目まではどうしても間が開いてしまうので老化が進んでしまいます。精巣の機能が落ち、うまく良い精子が作れなくなり、続発性不妊(2人目不妊)の割合が上がってしまうと考えられます。
いまは大丈夫でも、お子さんが2人・3人ほしいという方は、計画的に早くお子さんを作るとか、2人目の時にも精液検査をしてみるとか対策することはできます。でも知らなかったら、「なかなかできないなぁ」といって、さらに老化が進んでしまう可能性があります。
もちろん精索静脈瘤は治療可能であり、それにより精液所見や精子の質の改善が見込めます。
精索静脈瘤は治療が可能です。治療は手術になりますが、当院ではカップルで当院に受診し検査・加療され、不妊治療を保険診療で行う条件が満たせる方に対しては保険診療で治療を行っております。こちらも詳しくは受診された際にご説明させていただいております。
精索静脈瘤の詳しい情報や当院で行っている治療法については過去のコラムをご参照ください。
保険診療で正しい男性不妊治療を~精索静脈瘤の話① 精索静脈瘤って結局何なのか?~
https://ivf-kyono.com/column/post-5615/
保険診療で正しい男性不妊治療を~精索静脈瘤の話② 手術は自費?保険?手術の種類と麻酔について~
https://ivf-kyono.com/column/post-5616/
東京プレコンはあくまで最初の検査です。
ここで問題があれば、我々は東京プレコンでは足りない追加検査や再検査をします。これらの検査は保険でできるものも多数あります。
当院ではどれが後から保険でもできて、この検査はどういった意味があるのかを十分説明したうえで選んだいただいております。
中にはあまりよくない結果をお渡しせざるを得ない患者さんもいらっしゃいますが、男性不妊、女性不妊両方の観点から、少しでも妊娠が近くなる治療を提案させていただいております。
東京プレコンでせっかく検査をしたのですから、男性も精液検査を気にするだけでなく、自分の状態をよく把握するところまでできれば今後の妊活の目安になります。
ぜひこれから東京プレコンを受ける方も、今治療で悩んでいる方も精巣超音波を受けてみてください。
1.Clarke BG. Incidence of varicocele in normal men and among men of different ages. JAMA. 1966;198:1121–2.
2.Gorelick JI, Goldstein M. Loss of fertility in men with varicocele. Fertil Steril. 1993;59:613–6.
3.Witt MA, Lipshultz LI. Varicocele: a progressive or static lesion? Urology. 1993;42:541–3. doi: 10.1016/0090-4295(93)90268-f.
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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