学会報告 2026.08.17
2026年6月6、7日に開催された第67回日本卵子学会に参加し、演題発表を行ってまいりましたので報告いたします。
今回、「胚盤胞到達時間とiDAScoreの組み合わせによる出生予測精度の年齢層別評価」という演題で発表いたしました。AIによる胚評価と胚発育速度が出生とどのように関係しているのかを年齢層別に検討した研究となっています。
当院では、タイムラプスインキュベーターを用いて、受精卵(胚)の発育を継続的に観察しています。胚を評価するときに用いているiDAScoreは、タイムラプスで撮影された胚の画像をAIが解析し、胚を1.0~9.9の数値で評価するシステムです。スコアが高いほど高い妊娠率が期待されます。一方、拡張胚盤胞到達時間(tEB)は、胚が「拡張胚盤胞」と呼ばれる段階まで発育するのにかかった時間を表します。
本研究ではiDAScoreや拡張胚盤胞到達時間(tEB)が出生に至る胚をどの程度見分ける指標となるのか、また、2つの情報を組み合わせた場合に、より良い評価ができるのかを年齢層別に検討しました。
年齢別に比較したところ、iDAScoreや拡張胚盤胞到達時間(tEB)には、年齢による明らかな差はみられませんでした。一方で、年齢が高くなるにつれて、iDAScoreはやや低く、胚盤胞までの発育にはやや時間がかかる傾向がみられました。また、妊娠・心拍確認・出生に至る割合は、年齢が高くなるにつれて低くなる傾向がみられました。
図1は各年齢群のiDAScoreと拡張胚盤胞到達時間(tEB)の関係を示しています。縦軸はiDAScore、各点の色が拡張胚盤胞到達時間(tEB)を示しています。拡張が速いほど紫色、遅いほど黄色に近い点で表されています。年齢にかかわらず、拡張胚盤胞まで早く発育した胚ほど、iDAScoreも高い傾向がみられました。このことから、AIによる胚評価には、胚の「発育の速さ」に関連する情報も反映されている可能性が考えられます。
次に、iDAScoreや拡張胚盤胞到達時間(tEB)が、実際の出生とどの程度関連するか(出生予測能)を検討しました。その結果、特に年齢が高いグループでは、iDAScoreと拡張胚盤胞到達時間(tEB)それぞれにおいて出生と一定の関連を示しました。一方で、iDAScoreと拡張胚盤胞到達時間(tEB)を組み合わせても、出生予測能が大きく高まるわけではありませんでした。
以上より、拡張胚盤胞への到達が早い胚ほどiDAScoreが高い傾向を認めたこと、iDAScoreに拡張胚盤胞到達時間(tEB)を組み合わせても出生予測能の有意な改善は認めなかったことから、iDAScoreには拡張胚盤胞到達時間(tEB)のような発育速度の情報が反映されている可能性が示唆されました。一方で、どの胚が出生につながりやすいかを一つの指標だけで完全に予測することはできません。今後は、形態評価や患者様の背景など、異なる情報を組み合わせながら、より良い胚評価につなげていくことが重要と考えています。
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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