論文紹介 2026.08.28
今回はこちらの論文について簡単に紹介させていただきます。
Clinical Usability of Embryo Development Using a Combined Qualitative and Quantitative Approach in a Single Vitrified-Warmed Blastocyst Transfer: Assessment of Pre-Vitrified
Blastocyst Diameter and Post-Warmed Blastocyst Re-Expansion Speed
Jae Kyun Park.,et al. J. Clin. Med.2022
(単一凍結融解胚盤胞移植における、凍結前の胚盤胞直径と融解後の再拡張速度を用いた、形態評価と定量評価を組み合わせた胚評価法の臨床的有用性)
論文URL: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9736480/pdf/jcm-11-07085.pdf
凍結融解胚盤胞移植における移植胚の選択は、形態学的評価が主な選択基準として利用されていますが、形態学的評価は胚培養士の主観を含む点、写真による静的評価であるという点で、胚の状態を正確に把握するには限界があります。
Gradeという言葉をお聞きになったことがある方も多いと思いますが、この胚選択が妊娠率や妊娠継続率に与える影響はとても大きなものです。
現在日本においては先進医療として【タイムラプス培養】を実施しています。
タイムラプス培養を行うことによって、従来の培養士による形態学的評価に加え、定量的かつ動的に評価できるようになることが期待されています。
今回ご紹介する論文では、形態学的評価を基にした胚の品質の他に、
凍結前の胚盤胞直径
融解後の再拡張速度
などと妊娠成績との関連性を調べ、臨床における有用性を検討しています
(引用文献より一部改変)
胚の品質と関連する項目は?
が有意に関連していました。
妊娠継続と関連する項目は?
が有意に関連していました。
また、再拡張速度が59.8 μm/min以上である胚を移植した場合、そうでない胚よりも臨床妊娠率、妊娠継続率が有意に高くなりました。
以上の結果より、胚盤胞直径および再拡張速度はいずれも胚の品質を評価する観点から重要な指標であることが示されました。
また、妊娠成績の観点からは、母体年齢、凍結保存日、および胚の品質が重要な因子であることが明らかとなりました。
この論文では、移植胚を選択する際は胚盤胞の形態評価の他に、胚盤胞直径、再拡張速度、凍結保存日が胚選択の基準として有用であると結論づけています。
当院においても移植胚を選択する際の主な基準は形態学的評価(ガードナー分類)を用いています。培養士間で評価に差が出ないように対策していますが、人の目で見ている以上ばらつきを完全に無くすことは困難です。
そのため他の選択基準として、タイムラプス培養時に観察された発生イベント(多核、ダイレクト分割、リバース分割の有無など)の記録や、AIを用いた胚評価スコア(iDA score)などを用いて総合的に判断し移植胚を決定しています。
患者様にとって最善の選択となるよう、当院スタッフ一同最善を尽くしてまいります。気になることがございましたらお気軽にお問い合わせください。
仙台培養部 今井
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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