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医療コラム

論文紹介 2018.12.25

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と食酢

高輪看護部のコラムでは妊活中の食事や栄養についてお届けしてきました。今回は食酢が多嚢胞性卵巣症候群に効果的であるという研究についてご紹介します。

多嚢胞性卵巣症候群(以下PCOS)とは、排卵障害の原因の多数を占める内分泌疾患であり、月経周期の異常や排卵が起こりづらくなるだけでなく、男性ホルモンが多くなるため体毛やニキビが増えて声が低くなる等、美容面にも好ましくない影響があります。
また、ホルモン分泌異常により子宮体癌のリスクの上昇や、メタボリックシンドローム、心血管疾患などと関連も指摘されています。このようなことから、妊活中の方だけでなく健康のために長期的な管理が必要だと考えられています。

PCOSの中には、インスリン抵抗性のある方がいらっしゃいます。
インスリン抵抗性があると、通常よりもインスリンが効きにくくなるため、インスリンの分泌量が増加して、高インスリン血症という症状へつながります。その結果、卵巣からのアンドロゲン(男性ホルモン)の産生を増加させ、卵胞が発育しにくかったり、卵胞閉鎖を引き起こしたりします。

これまでの研究では、インスリン抵抗性を改善することが排卵周期の回復に効果的であること、食酢にインスリン抵抗性を改善する効果や1型糖尿病に対する食後血糖値の低下作用があることがわかっています。

今回ご紹介する論文では、食酢を摂取することでインスリン抵抗性を改善し、PCOSを治療できるかどうかを調べています。

題名 (和文)食酸の多嚢胞性卵巣症候群に対する効果
(英文)Vinegar May Restore Ovulatory Function through Improving Insulin sensitivity in Women with Polycystic Ovary Syndrome
研究期間 2012~2014
研究代表者 高島 明子 滋賀医科大学・医学部・助教

高島らは患者に受け入れやすく長期間使用できる治療方法が必要であると考え、食酢を摂取する方法への着想に至りました。PCOSと診断された23~40歳の7名の患者を対象とし、750mgの酢酸が含まれたりんご酢飲料100mlを1日1回約3ヵ月摂取して、前後で月経の状況や血液検査の結果を比較しました。

結果は、7人中4人に月経周期の改善と40日周期以内の排卵を伴う月経が認められました。残りの3人のうち2人は排卵を伴う月経を認められたものの41日以上の月経周期でした。血液検査の結果も、7人中5人にLH/FSH比の改善が認められています。この結果をもとに、現在は食酢の脂質代謝への影響を調査中です。

インスリン抵抗性は一般的には肥満との関係性も指摘されているため、その場合にはまずは体重を減少させることが効果的であると言われています。
また、同様にインスリン抵抗性を改善するために病院ではメトフォルミンというお薬を用いた治療を行うこともあります。

ちなみにこちらの研究ではマインズ®ミツカンのりんご酢飲料を使用したそうです。手軽にはじめられる方法なので、なかなか通院できない方や妊活を始められたばかりの方はぜひ試してみてはいかがでしょうか。

PCOSは多くの方が悩まれている症状の一つです。一人で悩まず、いつでも看護師やスタッフまでお声がけください。

高輪看護部 小林


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