コラム 2026.10.01
東京都の不妊治療費助成制度が拡充されたことをご存知でしょうか。2026年4月1日以降に開始した治療から助成対象が広がり、2026年10月1日から申請受付が始まりました。
これまでは保険診療と併用した「先進医療」の費用のみが対象でしたが、拡充後は保険診療の体外受精・顕微授精の自己負担分も助成の対象となります。高額療養費制度などと組み合わせることで、治療内容によっては自己負担が大きく軽減されるため、「実質無料化」と表現されることもあります。本コラムでは、制度の要点と、活用の手順を整理します。
主な変更点は次のとおりです。助成対象かどうかは、胚移植日ではなく「治療の開始日」で判断されます。
| 項目 | 2026年3月31日までに開始 | 2026年4月1日以降に開始 |
|---|---|---|
| 保険診療の体外受精・顕微授精の自己負担分 | 対象外 | 対象 |
| 併用した先進医療 | 費用の7割 | 費用の全額(10割) |
| 助成上限(1回の治療) | 15万円 | 合わせて15万円 |
※高額療養費および健康保険の付加給付が支給された場合は、その額を差し引いて助成額が算定されます。一律に15万円が支給される制度ではありません。
原則として、1回の移植に向けて初めて治療計画を立てた日が開始日です。同じ採卵で得た胚の初回移植は採卵周期の治療計画日、2回目以降の移植はそれぞれの移植周期の計画日が治療開始日となります。たとえば3月に採卵を行い、4月に初回移植を行った場合、その一連の治療は旧制度(先進医療のみ対象)の扱いとなりますし、2回目以降の胚移植は別途計画して6月に実施したという場合は新制度の扱いとなりますので、ご注意ください。
本制度は保険診療の生殖補助医療を前提としているため、対象となる方は限られます。主な要件は次のとおりです。
なお、全額自費(自由診療)で行う体外受精・顕微授精や、人工授精などの一般不妊治療は対象外です。助成回数は保険診療の回数に準じ、治療開始時の妻の年齢が40歳未満で1子につき6回、40歳以上43歳未満で3回までとなります。
各制度には適用の順序があります。特に東京都の助成は、高額療養費や付加給付を差し引いた後の金額に対して算定されるため、先に高額療養費の支給を受けてから申請する必要があります。
以下は仕組みを示すための概算例です(所得区分や治療内容により金額は異なります)。
| 内訳 | 金額 |
|---|---|
| 保険診療の自己負担(3割) | 150,000円 |
| 高額療養費の支給 | −40,000円 |
| 先進医療(例:タイムラプス) | 30,000円 |
| 助成対象額 | 140,000円 |
| 東京都の助成(上限15万円) | −140,000円 |
| 対象治療費の自己負担 | 0円 |
助成金は治療後の申請により支給されるため、医療機関の窓口では一度お支払いいただく必要があります。
申請期限は、「1回の治療」が終了した日の属する年度末(3月31日)です(1〜3月に終了した治療は6月30日まで)。申請は原則として電子申請で行い、医療機関が作成する受診等証明書のほか、住民票、健康保険の資格情報、限度額適用認定証の区分がわかる書類、高額療養費の支給決定通知書などが必要です。当院で受診等証明書をご希望の方は、受付までお申し出ください。
東京都では、都の助成に加えて区市町村の独自助成も充実しており、不妊治療を受けやすい環境が整いつつあります。これは患者さんにとって大変ありがたいことだと考えています。
一方で、年齢や治療方法によってこれらの制度の対象外となった場合には、その影響を大きく感じることにもなります。制度を最大限に活用するためには、治療計画の段階から助成の要件を踏まえて相談できるクリニックを選ぶことが重要です。
行政の方々のご尽力により、不妊治療を受けることへのハードルは以前と比べて大きく下がりました。患者さんを受け入れるクリニックとして、私たちも医療サービスの質を一層高めてまいります。
生殖医療相談士 越智 将航
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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