プレコンセプションケアとは、妊娠を計画している女性やカップルが健康的な妊娠に向けて準備をするための包括的なケアやアドバイスのことです。これには、栄養やライフスタイルの改善、病歴の確認、必要なワクチン接種、遺伝的リスクの評価、ストレス管理などが含まれます。
プレコンセプションケアとだけ聞くと、何か検査を受けるのだろうか、何かを治療するのだろうかと考えられますが、必ずしもそこがゴールではありません。
プレコンセプションケアにはいくつかのステップがあり、最終的にはその方らしい人生を送る(Actionする)ことができるようになるためのケアだと考えられています。
Step1:いまの自分のからだとこころを知ることができる
Step2:生活を整えることができる
Step3:今の自分の体をチェックし、よりよくすることができる
Step4:かかりつけ医とつながることができる
Step5:ライフプランを立てることができる
一つずつ見ていきましょう。
ここでは、性的な違いといったそもそものスタート地点から認識をしていきます。
LGBTQなどのテーマにも触れます。
妊活に特に深く関わる部分では、ここではそもそもの理想的な体重であったり、基礎体温の動きなどを学びます。
実際に、体重が多すぎる(BMIが高すぎる)と治療ができないこともありますし、産科で受け入れてもらえないこともあります。
また、特に日本人は痩せている状況を美しいとしていることが多く、妊娠しづらい状況が慢性的に発生している場合もあります。
などがこのステップでは考えられます。
従来のものでいえば、ブライダルチェックの方がより一般的かもしれません。
ブライダルチェックは、将来の妊娠・出産を考えている人向けに行う、健康状態や妊娠・出産に影響を与える病気の有無を調べるための健康診断のようなものですが、プレコンセプションケアは、それよりも一段手前かつより広い範囲で、将来妊娠するために必要な知識をみにつけることを含んでいると考えるとよいでしょう。
何かを検査したり、知ることですべてが解決するわけではなく、そこからのアクションが重要です。
ここでは、自分の生活を整えるというセルフケアに入っていきます。
・禁煙しよう
・アルコールは適量にしよう
・主食・副菜・主菜・乳製品・果物を揃え、適切な栄養素を食事から得よう
・葉酸を摂取しよう
喫煙をしていることが、健康上はもちろん、妊活上も百害あって一利なしです。
パートナーからの受動喫煙でさえリスクとなります。
まずは禁煙治療からはじめましょう。
また、葉酸については、早くから摂取することを推奨しています。
妊娠してからではなく、妊娠前からサプリメントや食品中に強化される葉酸として1日400μg摂取することが望まれます。
実はあまり知られていないのですが、性感染症は増加傾向にあります。
性器クラミジアや梅毒をはじめとした感染症が年々増加しています。
特にクラミジアについては、妊活に関わる部分が多く、妊活を始める前のチェックでも必須レベルで挙げられている検査の一つです。
まずは感染予防が一番ですが、カップルは一緒に性感染症の検査を受けることが推奨されます。
妊娠中に罹患すると赤ちゃんに影響を与えることで知られているのが風疹・麻疹です。その他、みずぼうそうやおたふくかぜなどもあります。
これらはワクチンを打つことで予防ができますが、生ワクチンであるため、接種後2ヶ月は避妊が必要となります。
妊活を始める前に、風疹・麻疹の抗体価をチェックしましょう。
こうしたワクチン接種に関しては、自治体から助成金が出ているところも多いので、お住いの自治体情報も事前に調べることをおすすめします。
女性は20代から子宮頸がんが増加し、30代に入ると乳がんの発生率が急激に増加してきます。
男性は30代から徐々に増加し、40代からは急激にがんに罹患する確率が増加していきます。
女性の場合、子宮頸がんに罹患すると、治療によっては、子宮及び卵巣や卵管をすべて切除しなければならず、妊娠を望むことができなくなる場合もあります。
乳がんの治療によっては、卵巣予備能力が下がってしまうことや、長期間の治療によって、身体の老化の影響を受ける場合もあります。
そのため、がん検診を受けること、乳房のセルフチェックなどを行い、可能な限り未病、早期発見に努めましょう。
前述の内容に重複しますが、女性の場合、20代から子宮がん検診などを受けていただくのが理想的ですし、月経で気になることがある場合も我慢せずに、婦人科医に相談できるようにしましょう。
また、歯の衛生状態を保つことも重要とされています。虫歯や歯周病があることによって、早産につながったり、低体重児の出生につながるリスクが昔から指摘されています。
特につわりの時期になると、歯が磨けないということも多く、日頃からのケアが欠かせません。
妊娠したい、という漠然とした想いから、もう少し具体的に人生設計を考えてみましょう。
何歳くらいに子どもがほしいのか
子どもは何人が理想なのか
そして、それはパートナーと同じ考えでしょうか
というような妊娠に直結する部分はもちろん、例えば仕事面では、何歳くらいでどのような仕事をしていたいのかというようなことも考えてみるとよいかもしれません。
ご両親がいらっしゃる方であれば、何歳くらいに介護の可能性があるのだろうかと考えてみましょう。
もちろん、必ずしもこの通りにはならないかもしれません。
プレコンセプションケアを行い、自分の身体や心の状態を知ることは、これほどまでに広がっていく可能性がありますので、軽い気持ちでも構いませんから受けてみることをおすすめします。
また、東京都に関しては、昨年からプレコンセプションケアに対して、助成金を出しており、実質無償で検査を受けていただくことができます。
受けられる検査は以下から確認いただければと想いますが、
このページで記載している麻疹の抗体検査、性感染症の検査も受けられますし、
女性ではAMH検査、甲状腺ホルモン検査、超音波検査、女性ホルモン検査が受けられます。
男性に関しては、精液検査とホルモン検査を受けることができます。
こうした検査を不妊治療の専門機関で受けることができますので、不妊につながるような原因があっても正しいアドバイスを得ることができます。
プレコンセプションケアを通じて、自分らしい人生の一歩につながればと思います。
参照①:成育医療センター
https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/preconception/
参照②:東京都福祉局 https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/preconceptioncare.html
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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| 7:30〜16:30 (最終予約 15:00) |
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03-6408-4124
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