コラム 2022.12.13
(2023年1月28日更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC132DA0T10C23A1000000/
上記でも明らかになったように、規模感も提示されています。
現時点では、200人の利用者を想定しているということですが、
おそらく1ヶ月で利用者が埋まってしまう可能性が高いと考えます。
ご利用を希望される方は、東京都の情報開示をチェックしてみてはいかがでしょうか。
また記事内にもありますように、企業でも卵子凍結の女性は活性化しています。
メルカリさんやサイバーエージェントさん、ジャパネットさんなどで導入されているようですね。
ご自身の会社でも実はそういった福利厚生の制度があったということを知らなかった方も多いので、
しっかりと下調べしましょう。
先日、報道で東京都が来年度より、健康な女性の将来の妊娠のための卵子凍結に対して、
助成金を検討している(未確定です!)旨が報道されました。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000279232.html
早速ですが、様々なSNSやメディアで賛否両論が起こっています。
本来、助成金が出るということは利用者からすればありがたいことですが、
なぜ否定的な意見も見られるのでしょうか。
卵子凍結を判断する上での私なりのポイントをいくつか紹介したいと思います。
卵子凍結は新しい技術と考えられがちですが、実はすでに20年を超える歴史のある技術です。当院でも積極的に行っていますが、
・若年がん患者さんががん治療の副作用で卵子を失う前に凍結しておく
・男性不妊の方や何かしらのトラブルで、採卵当日精子が得られずに卵子凍結をやむなく行う
・無精子症で精巣から精子を回収するための手術を行うのですが、女性側との治療スケジュールが合わず、予め卵子凍結しておく
などの対応をしてきました。
どれも同じ「卵子凍結」という技術です。
2001年には日本で初めて卵子凍結からの妊娠出産の報告をしており、
既に120名を超える出産報告が当院からだけでされています。
そのため、卵子凍結は決して新しい技術(エビデンスのない技術)ではないと考えます。
では何が今課題になっているのか、といえば、一つは適応上の課題です。
今回は、「健康な女性の将来の妊娠のための卵子凍結」です。
こうした適応を、生殖医療施設や学会では「社会的適応」と呼びますが、
社会的適応にだけ絞るといくつかの課題が見えてきます。
卵子凍結を行う件数自体は年々増加傾向にあるものの、多くの方は未婚で行われています。
卵子を使用するためには、パートナーを得て、お二人でお子様を希望される状態にならないといけませんので、そのプロセスの途中にいる場合、凍結した卵子を使用することはありません。
実際に当院のデータからも、学会報告をさせていただいておりますが、まだまだ利用率が低い現状ではなく、この点は課題だとも思います。
http://ivf-kyono.com/column/post-5378
ただ、時間によって解決できる部分も一部あるでしょうし、
例えば、フランスなどのように、提供精子を用いた治療を行い、選択的シングルマザーを許容するなど、社会の変化が起こってくると状況は大きく変わると思います。
http://ivf-kyono.com/column/post-5533
現在の大きな課題となっているのはこの点ではないかと思います。
利用後の成績が施設によって大きなばらつきがあり、今年の夏頃Yahoo!ニュースでも報じられていましたが、卵子凍結を行い、融解時に生存していたのが50%程度だったというようなニュースもあり、大変驚いた記憶があります。
卵子を採取し、凍結する、ということについては既に多くの医療機関で行っていると思いますが、本来のゴールはその卵子を用いて治療をして、妊娠・出産につなげていくことですが、この成績の開示がされない、あるいはできないというケースが大半です。
原因は施設によって異なると思いますが、卵子凍結は凍結をした後は数年保管をします。
当院のデータ上は2-3年後などに融解して、妊娠にチャレンジされているようです。
このように時間差があるので、本当の意味での成績が見えない、という大きな課題があります。
重要な指標の一つが融解後の生存率だと私は思いますが、
当院ではセミナーなどでも、これまでの累計値として、93%と報告しています。
それ以外の細かな実績指標についても当院のラボがコラムにて紹介しています。
http://ivf-kyono.com/column/post-5193
これ以外にも指摘される点はあるかと思いますが、私が感じる大きな点はこうした点でした。
卵子凍結によってできることもあれば、できないこともあります。
希望される方々が正確な情報を把握した上で、自分の人生の中に卵子凍結を取り入れるのか、取り入れないのかは、その方の自由だと思っています。
当院では、正確な情報提供を行うために、医師による卵子凍結セミナーを毎月開催しております。
2023年1月には、当院で卵子凍結をしていただいた方を交えて、
卵子凍結経験者が語る「卵子凍結を検討して、実施して、今思うこと(仮)」をテーマにセミナー兼座談会を行う予定でいます。
対面での参加は20名先着で、オンラインでは100名まで参加可能です。
医師の話に加え、卵子凍結を実施された方の生の声もお届けできればと思っておりますので、ご興味をお持ちいただける方はご参加いただければ嬉しく思います。
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_7KFvMoiOTKq9dS8UuP1nNg
生殖医療相談士
越智
診療科目:婦人科・泌尿器科(生殖補助医療)
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