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医療コラム

コラム 2024.01.29

卵子凍結が助成されるからこそ考えてほしいこと

こんにちは。生殖医療相談士のおちです。

 

東京都の卵子凍結の助成の反響が大きいことが報じられています。

【外部サイト】

https://www.asahi.com/articles/ASS1J5Q3TS1COXIE037.html

 

この報道によれば、すでに7000名以上が説明会に参加しており、1650名が申し込みを完了しているとのこと。

まだ説明会も行われますから、10000人近い方が説明会に参加する可能性があります。

そして、その多くの方が卵子凍結をされますので、大変な規模になるものと思います。

 

参考コラム

【東京都】卵子凍結の支援に向けた調査事業登録医療機関登録が届きました

 

当院は、医学的な内容も含めて、卵子凍結を2000年頃から行っている施設であるため、

これまでの卵子凍結の変遷を理事長からもよく示されます。

 

卵子凍結が疑問視される理由も、卵子凍結が期待される理由もよくわかります。

助成が受けられることでのお得感はとてもよくわかりますが、治療を受ける前に今一度考えたいことを書いてみます。

 

卵子凍結が疑問視される理由


卵子凍結の目的(ゴール)は「将来子どもを得る」ことにあります。

 

ただ、今はパートナーがいない、とか、今は仕事でのキャリア形成が優先したい、など社会的な理由や背景があって、今すぐに妊娠にチャレンジできない人が、後年卵子の老化に伴う不妊症にならないようにするために行うのが卵子凍結です。

 

卵子凍結が疑問視される理由には2つあるように思います。

一つは

治療技術としての不確かさはないか?

ということ。

もう一つは、

本当に使うのか(必要なのか?)

という点です。

 

治療技術としての不確かさ

通常の体外受精や受精卵凍結と比較すると、通常の体外受精や受精卵凍結の方が確率は高いです。

卵子凍結の方が一定の低下があるのは事実ですが、それがどれほど大きいか、ということが争点になります。

この点については、国際的な論文などから勘案すると、問題になるほどの差はない、と考えられています。

 

ただ、施設によっての差もあることなので、世界がそうだから日本もそのはずだ、とか

自分が受けている施設がそのような数値になるか、というのは別の話です。

 

この点については、しっかりと施設ごとの成績を確認していただくほかないと思います。

特に注意してみたい点として、

凍結しておいた卵子を使用して実際にお子さんが産まれているかどうか、

という点です。やや専門的に言えば、融解後の治療成績です。

【参考コラム】

当院の社会的卵子凍結の成績について(京野廣一)

 

中には、示すことができない、という施設もあるでしょう。

それは、成績が悪い、ということではなく、多くの場合、

凍結しておいた卵子を用いた治療まで到達していない、という状況です。

 

卵子を凍結した!といっても、その卵子が生存しているのか、実際その後の妊娠につながるのかは、

融かしてみないとわからない、という点には注意が必要ですね。

 

本当に使うのか?(利用率の低さ)

この点も日本は大きな課題があると考えられています。

以下で副院長の橋本が寄稿したコラムでも紹介していますが、国際的に見ると、日本は利用率が低いのが実態です。

【参考コラム】

社会的卵子凍結の有効性~when is the best timing?

 

選択的シングルマザーになることが許されていないなど、社会的な状況の違いが大きな要因として考えられます。

 

そのため、卵子凍結をされる方は、当然パートナーを探す必要が出てきます。

 

この点については、ある意味で患者さん目線で考えると、自分で払っているのだからどうこう言われる筋合ない、と考えることもできます。

 

助成金などがなければ、それも一理あるのかもしれません。

ただ、医療として行う以上、本来の目的である「子どもを得る」という点を見失わないようにしたいです。

 

こうした疑問を曖昧にしたまま、助成金が出るから今がチャンス!と駆け込んで卵子凍結を行うということは避けましょう。

 

卵子凍結に期待されるもの


上述の通り、希望する患者さんの今と将来を両立する、というのが一番の要素ではないでしょうか。

例を上げれば、今仕事を頑張りたい想いも、将来子どもを抱きたいという想いも、どちらも捨てることなく実現する。

という点です。

 

本来成立しえない2つを行うからこそ、この治療は難しいとも言えます。

 

大事なのは「協力」関係

卵子凍結を行うこと自体は、医療機関からすれば決して難しいことではありませんが、パートナーを探したり、実際に卵子を使用することを決めるのは患者さん自身です。

医療機関ができることは実は乏しいとも言えます。

だからこそ、患者さんとの協力が必要です。

(今回の東京都の助成金のプロセスでも、「調査に協力すること」を必須要件とされています)

当院では定期的に患者さんとの面談をしながら状況の確認をしています。

面談をしなくても凍結更新手続き自体はできるのかもしれませんが、上述のような不確かな特性をもつ卵子凍結だからこそ、

お一人お一人の状況を確認させていただきながら、卵子凍結が持つ価値を常にフラットに評価したいと考えています。

 

最近では、費用などが先行していたり、パッケージプランと呼ばれるような患者さんにとって見栄えの良いプランを掲げる医療機関もあります。

その中にはとても素晴らしい成績を出している医療機関もあれば、そうではない医療機関、上述のように「まだわからない」医療機関もあるでしょう。

(だからこそ話がややこしいのですが)

 

今回の助成金の申請終了時期は3月の末です。

時間もなくなって来ましたが、急がば回れ、ということで、大切な点をしっかりと抑えて、それでいてお得に卵子凍結を実現していただきたいと思います。

3月31日までに医療行為が終了している方を対象としておりますので、初診は2月中旬から下旬までを目途に検討いただくのが良いと思います。

 


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